第50話 宿泊学習編27
俺がそんな事を考えていると、池内が作戦をクラスに向けて話していた。
まぁ、今回は池内が仕切って色々してくれるみたいだし、今回俺は早々と捕まって、牢屋の中で大人しくしてよう。
「なお、牢屋に捕まっている間は先生達からの愚痴を延々聞かせられるから注意した方が良い」
マジかよ、そんなの絶対に捕まりたくないぞ!
誰だよ、捕まって牢屋でゆっくりとかアホな事を言ったやつ!!
「なんだか、捕まったら捕まったで地獄がまってそうだな」
「そうだな、まぁ普通に逃げてれば大丈夫だろ」
俺と英司はそんな話をしながらキャップを頭に被り、レクリエーションの開始を待った。
とは言っても、今回のレクリエーションは一般的な遊びに毛が生えたようなゲームだ。
人の多いところから離れて、一人でいれば危険も少ないし、動きも少なくて済む。
というわけで俺は……。
「じゃ、俺は一人で隠れてるんで」
「待て」
「ん? なんだ英司、お前も来るか?」
「アホか、池内の作戦聞いてなかったのか? 班ごとに警察を捕まえる組と、泥棒に捕まった仲間を助ける組に分かれるって言ってたろ? 俺らの班は池内が居るんだから、警察を捕まえる組になったんだ、お前も協力しろ」
「なんて面倒な作戦だよ……えぇ、まじで?」
「あぁ、ちゃんと作戦は守れよ、嫌ならお前が昨日みたいに指揮を取れ、以上」
くそぉ!
池内の野郎!
どこまで俺の邪魔をすれば気が済むんだ!!
仕方なく班に合流した俺は、ため息を吐きながら肩を落としていた。
「はぁ……早く終わらないかな」
「あ、このレクリエーション今日一日するみたいだよ?」
俺がそんな事をつぶやいていると高城が教えてくれた。
てか、こんな小学生がやりそうな遊びを一日するの!?
マジでどうなってんだようちの学校は!
「はぁ……なんだかなぁ……」
「あ、あのさ前橋君……」
「ん? なんだ?」
「き、昨日は本当にありがとう……おかげで助かったよ」
「いや、良いよもう。昨日もお礼は聞いたし、それにそこまで大変じゃなかったし」
「で、でもあの……本当に感謝してるから……」
「なら、今日は迷子にならないでくれよ」
「う、うん」
俺がそう言うとなぜか高城は笑顔だった。
なんか良いことでもあったのだろうか?
「ん? なんだよ? 井宮」
俺がそんな事を考えて居ると、今度は井宮が俺のジャージの袖を引っ張ってきた。
「きょ、今日も夜……イベント付き合ってよ」
「え? 今日? いやそれは難しいだろ?」
今日は昨日のテントで寝泊まりと違って、宿泊施設で寝泊まりになる。
男子部屋と女子部屋は離れており、恐らく先生の見張りもつく。
部屋を抜け出してゲームなんて難しいだろう。
「な、なんか施設から抜け出す隠し通路があるんだって……まぁ出来ればで良いけど……」
隠し通路?
そんな物があるのか?
確かに今夜のイベントに誘う気持ちも分かる。
今回のイベントで手に入る武器はイベントで無課金で手に入る物の中ではかなり優秀な代物だ。
俺も是非手に入れたい。
「わかった、じゃあ後で連絡するわ。今はこのだるい行事をやりすごそうぜ」
「う、うん………あ、あのさ……」
「ん?」
「お、怒ってないの?」
「は? いや、どちらかと言うとそれは俺のセリフなんだが……」
「なんでよ」
「いや、さっき謝っととはいえ、昨日のお前相当怒ってたし……平手打ちされたし……」
女子からの平手打ちって、肉体と精神の2つにダメージが入るんだって、俺始めて知ったよ。
出来ることなら、もう今後一切やられたくない。
「あ、あのことはもう良いわよ……そ、それにアンタの言ったこともあながち間違いじゃないし……」
「でもお前……相当怒ってたし」
このままゲームのフレンド認証まで解除されるのかと思った。
「も、もう! 良いの! 両方悪かったってことでこの話は終わり!」
「そ、そうか? じゃ、じゃぁこれからも俺と遊んでくれるのか?」
もちろんゲーム内でだが。
「べ、別に良いわよ……」
「そうか……お前が居ないと調子も狂うし、困っちまうからさぁ〜」
もちろんゲームの中の話だが。
「そ、そうなの? そ、そんなに私が必要なの?」
「当たり前だろ? どうしたんだよ顔真っ赤にして変な事を聞いて」
「な、なんでもないわよ!!」
そう言って井宮は女子の方に行ってしまった。
「何なんだ一体?」
まぁでも井宮の機嫌が治ったようで良かった。
井宮が居ないとイベント一人で回ることになるし、ゲームの話を出来る奴が減っちまうからな。
そうこうしている間にスピーカーから何やらアナウンスが聞こえてきた。
『これより、レクリエーションを開始します。みなさんルールを守って正々堂々頑張りましょう』
レクリエーションが始まるらしい。
昨日のレクリエーション同様、クラスごとに陣地があり牢屋もそこにある。
さて、俺をライバル認定した池内はどんな作戦で行くんだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます