第40話 宿泊学習編17



「一体あの講習はなんだったんだ……」


「とりあえず女子は早く結婚しようと思ったんじゃないか?」


「まぁそうだろろうな、とりあえず女性の人生に置いての結婚の重要性が分かる良い授業だったな」


 テントに帰ったきた俺たちは寝る準備を整えていた。

 とは言っても寝袋を並べて歯を磨き、あとはもう寝るだけなのだが……。


「あ、そういえばさっき三組の奴が来てこれ置いて言ったぞ」


 そう言って英司が俺と池内に用紙を手渡す。

 どうやらさっき風呂で八代と九条が話ていた例の一年女子人気ランキングの投票用紙だった。

 

「これ書いて明日までに三組の男子に渡せってさ」


「また高城さんと井宮さんがトップでおしまいじゃない?」


「まぁ、そうだろうな、でももしどっちかの票が一票でも相手を上回ったら、この戦いにも終止符が打たれるかもしれないぞ!」


「ちなみに笹原は誰に入れるんだ?」


「俺はやっぱり高城さんかな、清楚な感じが良いよな〜、池内は?」


「俺は井宮さんだな、あのスタイルの良さは中々」


 ここでも見事に意見が割れたな。

 やっぱり井宮と高城の人気が同じと言うのは本当みたいだな。

 

「でも、俺たちはやっぱりついてるよなぁ〜そんな美少女二人と同じ班なんだぜ!」


「あぁ、他の班の連中も羨ましがってたからな!」


 楽しそうな奴らだ。

 そんなのみんなか注目されて面倒なだけだろうに……。

 俺はそんな事を考えながら、一人スマホでゲームをしていた。


「おい圭司、お前はこんなところに来てもゲームかよ」


「悪いか? 俺からゲームを取ったら何も残らないからな」


「いや、そんなことはねぇだろ……これから八代達のテントでみんなで人狼やるけど、お前も来るか?」


「行くわけないだろ、お前らだけで楽しんでこいよ俺は寝る」


「まぁだろうな……よし、じゃあ行こうぜ池内」


「残念、前橋君は来ないのか」


「悪いな、俺はイベントの集会で忙しいんだ」


「じゃぁ、留守番頼んだぞ」


「おう」


 二人はそう言い残して、テントを出て行った。

 はぁ、やっと一人になれた。

 やはり一人の時間というのは素晴らしい、一人で自由に何でも出来る。

 はぁ、あいつらこのまま帰って来なきゃ良いのに。

 俺がそんな事を考えながら、スマホのゲームをしていると突然スマホに通知が来た。

 通知は井宮からのメッセージを伝える物だった。


【今からそっち行っても良い?】


 そういえば井宮の周回を手伝う約束だったな、今は幸いこっちのテントには俺しか居ないし、あいつらも多分一時間は戻って来ないから大丈夫か。

 俺は井宮に【良いぞ】と返信をし、井宮を待った。

 するとそれから五分もしないうちにテントの入り口付近に人の気配を感じた。


「前橋居る?」


「あぁ、良いぞ入って」


 俺がそう言うと井宮はテントの中に入ってきた。

 

「他の二人は?」


「あぁ、八代のテントに人狼しに行ったよ」


「だからテントから出て行ったのね」


「そっちの二人は?」


「こっちも同じ感じよ、友達のテントに行ったわ」


「お前は良いのか? いかなくて」


「疲れたから休むって行ってあるから大丈夫よ、それより早く周回手伝って!」


「お、おう」


 こいつも俺に負けず劣らずのゲーマーだな。

 俺たちは二人でテントの中でゲームの行っベントの周回を始めた。


「あぁ! やっと出たぁ〜良かったぁ〜」


「意外とあっさり出たな」


 周回を始めて30分、井宮の目的だったイベント装備がすべて揃った。

 これで井宮との約束を果たす事が出来た。


「ありがとう、これでもうイベントを周回する必要はないわね」


「それは良かったよ」


「ねぇもう眠い?」


「いや、いつも夜中の二時まで起きてるのお前なら知ってるだろ?」


「まぁそうだよね」


 俺たち二人は夜型の人間だ。

 時刻はまだ夜の10時30分。

 まだまだ眠るには早うぎる時間帯だ。


「それじゃあ、ちょっと話さない? アンタに聞きたいこともあるし」


「聞きたいこと? なんだよ」


「アンタってさ……昔からそんな性格なの?」


「は?」


 いきなり何を聞いてくるかと思えば……。


「なんだよ急に、昔からひねくれ者だったのかって話か?」


「まぁ、そうなるわね」


「なんでそんな事が気になるんだよ」


「アンタのひねくれ加減が異常だからよ」


「失礼だな、別にそこまでひどくないだろ」


「いや、相当酷いわよ」


 そうなのだろうか?

 自分的には他人よりも多少ひねくれているだけだと思っているのだが……。


「昔か……まぁ小学校に上がった頃までは俺も普通だったんじゃないか? 友達も居たし」


「え!? アンタに友達がいたの!?」


「まぁな……でも小5辺りからは今の俺みたいになってた気がするな」


「何かあったの?」


「………何でも良いだろ」


 井宮であっても小学校の頃のあの話はしたくはない。

 あまり思い出したくないし、人に話たからといってどうこうなる話じゃない。

 

「……じゃぁ、今は聞かないで置いてあげるわよ」


「なんだよ今はって」


「まぁ、アンタが私をちゃんと友達って認めたら教えてよ。一応私はもうアンタのこと友達だと思ってるから、気になるのよ、友達の悩みって……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る