第20話 美少女の心が分からない
*
朝というのは清々しい、それが雲一つない青空だったら更に気持ちが良い。
気持ちの良く目覚め、朝食を取り、学校に向かう準備をして家を出る。
ここまで何事も無く順調に言っていると、それだけで今日はなんだかなんでもできそうな気分になってしまう。
気持ちの良い朝だ、もしかして今スマホのソシャゲでガチャを引いたらSSRが出るんじゃないかってくらい、俺の気分は最高に良い。
「あ、前橋君」
俺の気分は一気に地面まで急降下していった。
朝からあまり見たくないクラスメイトと遭遇してしまった。
しかもその相手が学校一の美少女の高城だったならば、気分は更に落ち込んでしまう。
まぁ、普通の男子ならここで「うほほい! 学校一の美少女と登校できるぜ! やっほほほい!」とかなんとか言って上機嫌になるのだろうが、残念ながら俺はひねくれ者なのでそうではない。
「おはよう、前橋君」
「あぁ、おはよう。じゃあまた後でな!」
「え!? いや、一緒に学校行こうよ!」
っち!
さりげなく別々に登校するよう誘導しようと思ったのに!!
常識人であり、クラスでもいつも中心にいる高城の事だ、絶対に「折角だから一緒に学校に行こうよ」と言って来ると思ったので、少し強引にあぁ言ったが、やはりだめだったか……。
まさか朝の通学路で高城と遭遇してしまうなんて……。
俺は先ほどまでの上機嫌が嘘のように消え去り、今は限りなく不機嫌だった。
だって、高城なんかと一緒に歩いてたら絶対に回りからじろじろ見られるし……。
「ねぇ、前橋君はいつも学校から帰ったら何をしてるの?」
俺がそんな事を考えながら歩いていると、隣を歩く高城がそんな事を聞いてきた。
別に会話をする意味もないのだが……無視をしたらしたで後々何か言われそうだと思い、俺は彼女の問いに答えた。
「ゲームだけど」
「へぇ~そうなんだ」
はぁ、どうせ笑ってるんだろうな。
こいつ、家でゲームやるしかねーのかよとか思ってんだろうなぁ……。
こういうクラスの中心にいる女子連中はゲームをやる男子はオタクという偏見を持ってるし、オタクは気持ち悪いという勘違いまでしているから本当に質が悪い。
どうせ信頼を得るとかなんとか言ってるけど、どうせすぐに飽きて俺とは関わらなくなるだろう。
「ねぇ、どんなゲームするの?」
「え? まぁ色々だけど?」
「いろいろって?」
「え? まぁRPGとかアクションとかかな? 最近はFPSとか」
「いろいろやるんだね、私はスマホでパズルゲームをするくらいだからなぁ……」
あぁ、あのリア充に人気のあのパズルゲームね。
確かSNSと連携出来て、スコアがSNSに投稿出来るあれだろう。
俺や井宮はやらないタイプのゲームだ。
「ねぇ、じゃあ前橋君はゲームセンターとかも良く行くの?」
なんだこいつ、めちゃくちゃ色々聞いてくるな、一体俺から情報を聞き出して何をするきだ?
「まぁ、たまにだな……アーケードゲームはあんまりやらないし、音ゲーは俺は全くしないからな」
「音ゲーって最近色々な筐体がある奴?」
「あぁ、某太鼓のゲームみたいなリズムゲームだ」
「私の友達そのゲームに一時期ハマッてて、よく一緒に行ってたんだぁ~」
確かに音ゲーの筐体の前にはたまにリア充の集団がたむろしてるな。
正直うるさいし邪魔だから俺はあまり好きじゃない。
中にはちゃんとマナーを守ってやっているリア充軍団も居るが、そうじゃない奴らには腹が立つ。
しっかりルールを守ってほしいものだ。
「ね、ねぇ……」
「なんだ?」
「あ、あのさ……前橋君って私の事どう思ってる?」
「はぁ?」
思いもかけない質問に俺は思わずそんな間の抜けた声を出してしまった。
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