第15話 彼女達は美少女
*
なぜこうなってしまったのか、誰か教えてくれるなら教えて欲しい。
ファミレスの俺と井宮の机には今現在、新たに高城が加わりなぜか一緒に飯を食べている。
おかしい、俺はいつも通り井宮とゲームをしに来ただけなのに……。
てか、なんで高城がここに居るんだ!?
というかなんで店に入って来るの?
店員に商品を注文し、高城はむすっとした顔で俺に尋ねて来る。
「前橋君って井宮さんと仲良かったんだね」
「いや、仲が良いというか……都合が良いというか……」
「都合の良い関係!?」
俺がそう言うと、井宮は顔を真っ赤にして俺の頭を小突いてくる。
「バカ! 何意味深な言い方してるのよ!!」
「いや、だって実際そう言う関係だし」
都合の良いゲーム仲間のような物なので、何も間違ったことは言っていないのだが……。
というか、この二人が同じテーブルに居るだけで周囲の視線を集めて嫌だな……。
ファミレス中の客が俺たちの机に注目してるぞ。
「やべぇあのテーブル、アイドル並の美少女が二人とイケメンが居るぞ!」
「あのテーブルだけなんか光り輝いて見えるな」
「てかあの男の子と茶髪の子って最近ずっとこの店に来てたわよね?」
「もしかして三角関係!? うわぁ……罪な男ねぇ」
なんか周りの人達も色々話てるなぁ……。
「あ、あのさ……前橋君に質問なんだけど……」
「ん? なんだ?」
「こ、この前は前橋君の友人枠は一つだけとか言ってたのに……な、なんで井宮さんと仲良くしてるのかな?」
引きつった笑顔でそう尋ねてくる高城。
まぁ、それもそうか。
前に高城と会った時、俺は友人枠は一人だけだと言って、高城の友達にならないかという誘いを断っている。
当然そのあとで俺が井宮と仲良くしているのを見るのは面白い無いわけだ。
「待て、勘違いするな! 井宮と俺は友人ではない!」
「そうなの? それにしては随分楽しそうに二人でゲームやってたように見えたけど」
「本当だよ高城さん、私はこいつの友達じゃないんだよ」
「じゃ、じゃぁもしかして!! もっと複雑な関係なの!?」
複雑な関係?
まぁ、確かに他人以上友人未満という関係は複雑といえば複雑かもしれない。
「あぁ、複雑な関係だ」
「ふ、複雑!?」
俺がそう言うと高城は顔を真っ赤にして口をパクパクし始めた。
どうしたんだろうか?
俺は何か変な事を言っただろうか?
俺がそんな事を思っていると、井宮はため息を吐き高城に言う。
「高城さん、あなたが考えてるような関係ではないから安心して」
「え? そ、そうなの? あの……え、エッチな関係とかじゃないの?」
「そんなわけ無いでしょ、なんで私はこいつと」
「だ、だって井宮さん大学生の彼氏が三人いるとか噂になってるし……」
「居る訳ないでしょ……こいと私は他人以上友人未満の関係なのよ」
「え? なにその変な関係」
「私もそう思うわ」
あれ?
そんなに変な関係か?
他人ではないけど友達じゃない関係って結構あると思うんだけどなぁ……。
井宮は高城に俺との関係について説明を始めた。
「そ、そうなんだ……もともとネットで交流があったんだ」
「あぁ、それが切っ掛けで最近は放課後にこうして二人でゲームをする関係になったんだ」
「私もゲーム好きな友達って少ないから、うれしくなっちゃってね」
「そ、そうなんだ……じゃ、じゃあ二人はお付き合いをしてるとか……そ、そう言う関係ではないのよね?」
「あぁ、違うぞ」
「えぇ、違うわ」
そもそも彼女なんて友達よりも面倒な存在を俺が作るわけがない。
やっぱり男は一生一人身でいるに限る。
「そ、そうなんだ……あ、あのさ!」
「なんだ?」
「じゃ、じゃあ私ともその関係になれないかな?」
「え?」
「いや、あの……わ、私はその……前橋君と仲良くなりたいから……少しづつ仲良くなれないかな?」
なんだと、この女何を言っているんだ!?
はっ!
そうか、俺と仲良くなることでゆくゆくは井宮と仲良くなり、自分の勢力に取り入れる気だな!!
女子は集団で行動する生き物だ、見た目の良い女子と仲が良いというだけで女子の中ではステータスになり、学園内のカーストでも上位に立てる。
この女、まだ上を狙う気だな!!
クソッ!
別に最初からカースト最下位の俺は別に気にしないが、利用されるのは気にくわない!
「まぁ、良いんじゃない? そうすれば今日の事も黙っててもらえるだろうし」
何を言っているんだ井宮!
そんな目先の保身の為に条件を飲むなんて早急すぎるぞ!
ここは少し相手の出方を見るべきだ!
「悪いが俺は信頼のおける人間以外と関わりを持とうとは思わない」
「え……わ、私は信頼に足らないってこと?」
「まぁ、そうだ」
「ちょ、ちょっと!!」
俺がそう言うと井宮は俺のすそを掴んで引っ張り、俺に耳打ちをしてくる。
「なんでダメなのよ? 可哀想でしょ」
「お前だってわかるだろ? 俺はこれ以上親しい人物を作りたくない」
「そ、それは分かるけど……」
俺がそう言うと、高城は俯いて黙ってしまった。
悪いが俺をダシに使うのはやめてもらおうか。
俺だって馬鹿じゃない、そう易々と利用されてたまるか!
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