第14話 学校行事は俺にとっての天敵
なんだこの班編成は……。
そう俺は思いながら、学食で食事をとっていた。
折角だからと班の男子三人で学食に来たのだが、いかんせんボッチが好きな俺にとってこの空気は少し居心地が悪い。
「なぁなぁ! 前橋って足早いけど部活入らねーの?」
「面倒なんだ」
「えぇ~もったいねぇーよ、って言っても俺も入ってねーけど」
「なんなんだよ」
「じゃあ放課後は何してんの?」
「家帰ってゲーム、あと動画見たり」
「マジ? もしかして意外とオタク? 俺も結構アニメとか好きだよ!」
あぁ、居るんだよこういう陽キャ。
どうせお前の見るアニメなんて、海賊王になる主人公の話とか火影になる主人公とかの活躍するあれだろ?
俺とは部門が違うんだよ……。
「俺は今期は『転生したら植物だった』が面白いと思ったなぁ~前橋は?」
な、なにぃ!?
『転生したら植物だった』だと!
それは今季覇権を取るのではとネットでも噂されてるアニメだぞ!
もちろんアニメを結構見る奴くらいしか知らないアニメだ。
この陽キャ……意外と知ってるのか?
「一話の転生したシーンが良かったよなぁ~、転生の仕方が以外で」
わかる!
俺もそれはすごい思った!
ヤバイ、語り合いたい。
でもこいつは所詮陽キャ……後からボッチで陰キャで不細工な俺にどんな嫌がらせをしてくるか分からない!
しかし、語り合いたい!!
ど、どうする!?
どうしたら良い!
助けて俺の唯一の友人英司君!!
そう思いながら目の前でうどんをすする英司に視線を送る。
しかし、英司はスマホに夢中でこちらに気が付かない。
英司この野郎ぉぉぉ!!
「ま、まぁ確かにお、面白いよな……」
「え? もしかして前橋も見た!? マジか! いやぁ~クラスの奴でもあんまり見た事ある奴いなくてさぁ~話が分かる奴がいてうれしいよ!」
乗ってきちゃったよどうしよう!!
英司以外の人間との話方なんて良く知らねーよ!
てか、昔英司から『お前は他人に対して口調が厳しい』とか言われたけど、大丈夫か?
こいつなんなんだとか思われないか?
「いやぁ、前橋とは気が合いそうで良かった!」
「それは良かったな」
「相変わらずクールでカッコいいなぁ~、モテるのもわかるぜ」
別にクールじゃねぇよ!
何を話せば良いか分からねーだけだよ!!
てか別にモテねーよ!!
「あ、悪い! 俺先生に呼び出されてたんだ! 先行くわ!」
そう言って、池内は食堂を去って行った。
「はぁ……なんなんだあの陽キャは……」
「お前にめっちゃ話かけてたな、よかったじゃないか、趣味も合いそうだし」
「いやいや、あいつはきっと最初は優しく俺を手なずけ、あとから使いっぱしりにする気だ」
「なんでそう思うんだよ」
「あいつみたいな陽キャが俺に興味がある時点で不自然だろ! きっとそうに違いない!」
「あぁ、はいはいなんでもいいけど、班員とは仲良くしろよ」
「あんな陽キャ集団とか!? そんなの無理に決まってる! 俺は当日は風邪を引く!」
「どんだけ行きたくねーんだよ! これも人付き合いの練習だと思え!」
「練習のハードル高すぎだろ! 学校一の美少女が二人に陽キャが一人! あとはギャル! なんだこの組み合わせ! せめて普通の奴と組みたかった……」
「今更言っても仕方ないだろ、もう決まった事なんだ」
「はぁ……仕方ない調べておくか」
「お、人付き合いの方法でもネットで調べるのか?」
「いや、どうやったら風邪を引けるか」
「いや諦めて来いよ……」
行きたくないと思っていても、学校の行事なので班同士の話合いなんかもあり、ここ一週間はあの個性の塊みたいなやつらと学校で頻繁に会話をすることになってしまう。
はぁ……気が重い。
*
放課後、俺はいつも通り学校の帰りに井宮と合流し、ファミレスでゲームをしていた。
「まさか赤椿さんと一緒の班になるとは……」
「仕方ないでしょ? 美佳が勝手に話を進めちゃったんだから」
「まぁそうだが……はぁ……行きたくねぇ」
「なんでよ? 私も居るんだから良いでしょ? それにあの……えっとなんて名前だっけ? 仲良いあの男子も一緒でしょ?」
「英司か? まぁ、そうだが……他の三人のキャラがなぁ……」
「美佳は良い子よ、見た目あんなんだけど」
「それはお前もな」
だって茶髪だし、スカートめっちゃ短いし、化粧ばっちりだし。
最早同い年かも怪しいぞ。
「まぁ、確かに私もゲーム出来ないからあんまり行きたくないけど」
「行くとしたらスマホゲームしか出来ないしな」
「まぁ、きっとやってる暇もないんだろうけどね。ねぇ班行動の時は私あんたにどんな感じで接すれば良い?」
「あぁ、そうか……俺とあんまり親しくしてると誤解を生む可能性があるし……そうだ! この際だからゴミみたいな扱いで頼む! 俺とお前は一切仲が良くないとクラス中に証明できるしな!」
「私が変な目で見られるでしょうが! まぁあんまり干渉しないようにはするけど……まぁ、ファミレスでこんな事してるのを見られたら終わりだけどね」
「流石に大丈夫だろ? 学校から離れてるし、時間も遅いし……」
そう言いながら窓の外を見た瞬間、俺の言葉は止まった。
その理由は、なぜか窓の外に高城が居て、驚いた表情でこちらを見ていたからだ。
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