第56話

高住先輩の好投もあってなんとか三回戦まで来た。ちなみに俺は二回戦に三回だけ投げた。

そして今日の先発は俺だ。高住先輩が右肘の違和感を昨日から訴えていたからだ。

俺はねるからの激励のラインにありがとうと返信をして下に降りた。


「あ、お兄ちゃんおはよう」


優香がキッチンでエプロンを着けながら料理をしていた。いいよな制服エプロンって、新妻感があってな。


「お兄ちゃん何てこっちをじろじろ見てるの?」


不思議そうな表情をしながら優香が尋ねる。


「優香のエプロン姿が可愛いって思ってな」


「な、お兄ちゃんいきなりは反則だよぅ」


優香は顔を真っ赤にして手で顔を隠して、恥ずかしそうにしていた。


美少女は何を着ても絵になる。優香は十人中十人が振り向くほどの美少女である。それこそねるに匹敵するくらいの。将来彼氏ができたらこんな風に朝に家に行ってご飯を作るのだろうか。そしたら俺の朝の癒しがなくなる。優香は誰にもやらん。


「お兄ちゃんご飯できたからはこんで」


いつのまにか復活した優香が鼻唄を歌いながらさらにおかずを乗せていった。俺はおぼんに皿を乗せご飯を二人分よそっておぼんに置き、奥の部屋に向かった。


俺は席に着くと正座をして優香が来るのを待った。少したってから優香がトテトテと歩いてきて、席に座った。 


俺はいただきますと言って目玉焼きを食べ始めた。うんいつも通り最高の味だ。優香の料理のレベルは定食屋を出してもいいレベルだ。


「どう?お兄ちゃん」


「美味しいぞ、ウィンナーの塩加減が絶妙で美味しい。まぁ優香の料理はなんでも美味しいんだが」


「んふふ、ありがとうお兄ちゃん。優香的にポイント高いよ」


たまにポイントをたまるんたかこのポイントはなにに使えるのだろうか?できればマッカン一ダース無料でもらえないかな。だったら俺は優香ポイントをためまくるために研究しまくるんたが。


「今日お兄ちゃん先発だよね、最初っから見に行くよ」


「大丈夫なのか?前みたいにぶっ倒れないか」


優香は暑さに弱くて滅多に試合も最初っから見ることはない。俺が試合に出てるときも六回の途中からきてることが多い。まぁ中学の時に最初っから試合見てたらぶっ倒れたことがあったからだ。俺の知り合い夏に倒れすぎじゃねーか。


「せっかくの高校入ってからの公式戦最初の先発なんだから見に行きたいんだよ。あと今日は曇りだから大丈夫だよ」


今日は曇りなのか、なら今日はあの蒸し暑いなかで試合やらないです済みそうだな。俺は曇りの方が調子がいいことが多いから助かるな。


ごちそうさまと言ったあと俺は食器を流し場にまで持っていき水を入れて置いて、二階に上がった。俺は公式ユニフォームに着替えてその上に学校の名前が入った上着を着て、リュックを持って下に降りた。優香が玄関前で立っていた。


「お兄ちゃんいいピッチング見せてね。ファイト!」


俺は笑顔になりカッコをつけてああと言った後前を向き手を上げて家を出た。うわーなんか手を挙げるの今さらになって恥ずかしくなってきた。試合中にやる分にはいいんだが。モデル並みのイケメンがやると絵になるんだろうが。俺がやったら黒歴史が増えるたけだな。


そんなことを考えていると俺は新松戸に着いた。改札を通っている高住先輩を見つけた。俺は改札を通り小走りで高住先輩の元に行き後ろからとんとんと肩を叩く。


「何ですか?財布でも落としましたか....好希じゃないか」


高住先輩は爽やかな笑顔を浮かべる。相変わらずイケメンですね。クラスの女子が騒ぐのもわかるわ。


「高住先輩ってよく財布落とすんですか?最初に落としたかどうか聞いていましたけど」


俺達はエスカレータに乗りながら、話し始めた。


「ああ、よく落とすんだよ。だから対策として、スイカは携帯のカバーにいれているんだが、今日はチャージをしたからな切符の販売所で落としたかと思ったんだ」


意外だな、高住先輩は成績もよくてイケメンでスマートで完璧な人間かと思っていたんたが、意外におっちょこちょいなんだな。確かねるもよくものを落としていたが、美形で完璧ぽく見える人はものを落とすのかねぇー。


「そうなんですか、肘の調子はどうですか?」


俺はもうひとつのエスカレーターを上がり自販機でマッカンを買った後にそう聞いた。


「まああまり痛くはないが、念のため今日はノースローだから投げれないな」


俺は肘が痛くないと聞いてほっとした表情を浮かべた。これなら次の試合には間に合いそうだな。高住先輩は最後の大会少しでも多く投げてもらうためにも今日はなんとしてでも勝たなくては。


「好希今日の試合は頼んだぞ、俺も最後は悔いなく終わりたいからな」


「任せてください、どのみち今日は絶対に勝たなきゃいけない試合だったので」


ねるが森田とデートするかもしれないんだ。負けるわけにはいかない。なぜだかねるがデートするって思うと胸が痛しな。ねるが森田を好きになる可能性は恐らくないが。


「なにか約束でもあるのか?」


「負けたらねるが相手のエースとデートすることになっているんですよ」


しかもあいつモテるから告白和断ったらうちの高校奴らになにされるかわからない。うちの高校にもあいつのファンクラブがそれなりの規模であるからな。あれてことは俺が抑えてたらブーイングくるんじゃね。同じ高校の奴らのブーイング受けるとか辛すぎだろ。きにしたら負けるな。


「ほぅーようやく少しは自覚したか。進展するのを待ってるよ」


何を進展するのを待っているんだ?俺とねるの事か?かりに俺が告白しても振られるな。振られちゃうのかよ。目から汗が。


「お、電車来たぞ乗るか」


俺達はいったん話をやめて電車に乗った。電車の中はとても涼しかった。俺達は空いてる席に座りアイドルの話をしていた。府と回りを見ると森田がアイドル並みの可愛い女子とぎさったい仕草をしながら会話していた。カッコつけた仕草でもイケメンは絵になるからムカつくな。

リア充爆発しやがれ。


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