第55話

俺たちは太陽の日差しを浴びながら駅まで来た。こんなかで試合をするのか蒸し蛸になりそうだな。


俺たちは駅の中に入ると素早くスイカで改札を通り、ちょうど電車が来たので乗った。


「こうくん大変だね。こんな暑いなか試合するなんて」


確かに大変だが、やっぱりあの日差しが照りつけるなかでなかでやると、高校野球って感じがしていんだよなー。暑すぎるのは勘弁してほしいが。


「見てる方も直射日光を浴びて暑いだろ。水分補給をちゃんとしろよ。前みたいに熱中症でぶっ倒れるのは勘弁して欲しいからな」


ねるは興奮しすぎるとそれに熱中するあまり他の行動をしなくなる。中学の時にやった試合でぶっ倒れて救急車に運ばれたときは焦ったな。

試合中だったから集中力が欠けて結構打たれたんだよな。恣意が終わったらすぐに病院に血相を変えながら向かってねるの無事を確認したら安心して膝から崩れ落ちた。それが部活に入らなかった理由のひとつでもある。


「大丈夫だよ。今度はちゃんと水分補給するから。....次は忘れないよあんな顔して病室に入ってきたんだから、あの時は嬉しかったよ。

私はこんなに大切に思われているんだと思って」


「そりゃ大事な幼馴染みだからな。俺には唯一無二の存在なんだから」


最近はねるの事が好きなんじゃないかと思ったんだが、まだ確証はない。時間はたくさんあるんだからこれからゆっくり答えを見つければいいか。


『ゆっくりしてる暇なんかないぞ。ねるがモテルのは知っているだろ。俺は自分の大切な人をゆっくりとしてたら奪われたんだからな。お前はもっと早く答えを出すんだ』


取られるのか。でもねるの好きな人はいなさそうなんだが、だけどこれから好きな人ができるかもしれない。そう考えると悠長にしてられない。ありがとな名も知れない声よ。


「うーん、そういう意味じゃないんだけどなー。まぁ今はそれでいいかな。じっくりアピールすればいいし」


ねるの言った言葉は小さすぎて聞こえなかったが、俺に言いたいことだったらもっと大きな声で言うだろうし知らなくても問題ないんだろう。


そんなことを考えてると電車が来たので、俺たちは電車に乗った。


ねるは目を細めながら冷房の聞いた電車内で頭の上で手を伸ばしていた。


おいそんな格好をしていると、男の夢の塊が強調されるぞ。おいそこの高校生鼻の下を伸ばしながら見るな。ねるは時々隙のある仕草をするから心配だ。とりあえずこっちを見て鼻を伸ばしている高校生にひと睨みをして、ねるに近づかないようにする。男子高校生はひっと悲鳴を上げて隣の車両に行った。なぜ悲鳴を上げたかというと、俺は目を腐らせて鋭い目にすることができるからだ。小学校の時はコントロールできなくてよくゾンビだーって騒がれてねる以外近づかなかったな。あれなんだか目から汗が。


俺はそんな苦い思い出を思い出しながら遠い目をしてるとねるに話しかけられた。


「こう君なんでそんなに目を腐らせてるの?乗客の人が怯えて人が離れていってるよ」


おっとオンのままにしてたのを忘れていたわ。俺はすぐに目を戻すと、怯えていた人たちがこっちを驚嘆した顔でこっちを見ていた。まぁ目が腐っていたやつがい、きなり普通の目をしてたら驚くよな。


「久しぶりに見たよ。こうくんの腐らせた目」


最近もねるに下心あるやつにたいしては結構な頻度でしてると思うんだが、まぁねるが違う方向見ている時にやっているから気づいてないのか。


「まぁすぐに解除してるから気づいてないだけで結構やってるぞ」


「やっぱり私のとなりにいるから気を付けているの?」


「まぁねるは美少女で、俺はそれなりに整っていると思うがねるに比べれば全然だし、目が腐っていたから脅してるんじゃないかと思わるんだよ」


マジで小学校の時は何度も問い詰められたからな。お前みたいのが長濱さんのそばにいるなんてあり得ないと。そのたんびに離れようかと思ったんだが、結局ねるといるのが心地よくてはなれなかった。だから腐った目は直した。


「その様子だと、実際にいわれたんだよね。誰が言ってたの?言った人の連絡先ブロックするから教えて」


こえーよ、ねる目が据わっているんだが。まぁそれだけ俺の事を大事に思っていると思えばそんなに怖くないか。ドンマイ俺の事を疑ったやつ。ねるの連絡先を持っているのは結構貴重だったりするからな。


「中村と高島か、ねるとある程度話してたやつだと」 


ねるはわかったと言ってラインを開きなんの躊躇もなくその二人の連絡先をブロックした。


「この二人遊ぼうってしつこかったからちょうどよかったよ。ブロックする理由ができて、ただしつこいだけでブロックするのはかわいそうだと思っていたんだよね」 


遅かれ早かれブロックしていたということか。なら俺は罪悪感を抱かずにすむな。


「そういえば信州大学松戸には何回戦で当たるの?」


「勝ち上がれば三回戦だな、まぁ一回戦は弱小二回戦は中堅と当たるから勝てるだろうけど、一応油断しないで全力で倒しにいく」


「こうくんだったら信州大学松戸にもきっと勝てるよ」


まぁその前に俺が先発で投げるかどうかもわからないが。たぶん一回戦は初戦だし高住先輩が投げるだろう。二回戦はどうするかだな。

まぁ投げる機会があったら全力で胸を借りるつもりで投げよう。ねるとデートされるとなぜだか胸がずきずきするからなんとしてでも勝つ。


「あ、新松戸に着いたよこうくん」


俺はたちは電車を降りて、改札をスイカで通り駅を出た。


俺達は櫻坂の話をしながら家まで歩いていると、あっという間に家に着いた。


「じゃーまた明日なねる」


「じゃーね明日の試合頑張ってね」


俺はああというとねるが家に入るまでで見送り、ねるか家には行ったのを確認すると自分の家に帰った。明日は一回戦だ。柔軟体操をして万全の状態で挑もう。




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