第30話

「ねえ、なんで一緒にいるなら教えてくれなかったの?」

ここだけ真冬のように寒い。俺だけか?

いや周りのひとたちも今って冬だっけとかいいながら腕をさすってるな。

いつから魔法を使えるようになったんだ妹よ。

取り合えず言い訳をするか


「教えたら友達放っておいてこっちにくるだろう。それじゃ友達がかわいそうだから言ってないんだ。それに今日は勉強教えてもらったお礼だ」


友香はジト目でねるが大事そうにてに持っているネックレスの袋をにらんでいる。


「ふーんそれもお礼なんだ。随分高いの買ったんだね」


「うん、まあカップル割り引きしてもらったんだけどね」

ねるはネックレスの入った箱を丁寧に撫でながら自慢げにどや顔した。

何でどや顔してるんだ。カップル割り引きなのは男と女子が一緒にいるからだろ。

深い意味はないと思うんだが。


友香は俺を鬼の形相でにらんできた。

ふぇー怖いよー。あんな顔みたことないんだけど。

友香いつもみたいに天使みたいに微笑んでくれよ。

おい周りこれが姑問題かとか興奮すんな。助けてくれ。


「カップル割りなのは安かったからだよ。深い意味はない。だからその顔やめて。俺のメンタルじゃ泣きそうだから」


「はあーこれだから(お兄ちゃん)(こうくん)は」


『はー第三者からみたらこんなに鈍感なんだな。呆れるレベルだ』


おい俺は敏感だぞ。ねるの目線だけでトってほしいものがわかるレベル。

まぁねるのしかそいうの出来ないが。

友香に関しては中学から妹になったから出来ないが。


友香が何かを思いついたような表情をして、俺の顔をニヤリとみた。

あ、これろくでもないことを思いついた時の顔だな。

はぁー俺に拒否権は恐らくないだろう。

仕方ないいうことを聞くか。


「友香何を頼むんだ?」


すると友香はぱぁーとあざとさ60%ぐらいの笑顔で流石お兄ちゃんと手をぱちんと会わせて言った。

つまりあざとい。あざとさ60%なのはまだ初期のあざとさだからだ。

いつからうちの妹はあざとくなったのだろう。

昨日までそんな予兆なかったはずなんだが。

ああ妹よ。天然から養殖に変わったんだな。

お兄ちゃん複雑だよ。

「私に指輪をちょうだい。ユウホーキャッチャーで取って」


この妹は難しいことをお願いしてきやがった。

取るのも難しいが、どこに妹に指輪送る兄がいるんだよ。俺は千葉の兄弟だが。高坂さんのうちとは違うんだぞ。

俺はちなみに沙織押しです。

あのメガネはずしたときのギャップがいいよね。まぁ俺は原作を読んでないから詳しくはないが。


「わかった。千円で取れなかったら諦めろよ」

何故かねるが唇を噛み締めながら悔しがっていたが見てない振りをした。

て言うかそんなに噛み締めると後でものを食べるときに染みるぞ。




俺達はゲームセンターに移動した。

ゲームセンターに移動している時に俺は胃薬をもらいたいと思った。

だってあいつら睨み合っているんだよ。

目の前の人が表情をひくつかせながら横にさぁーとずれていくんだぞ。

挟まれてる俺はそれを直で受けているんだよ。

もう今すぐ家に帰ってラノベを読みたい。


ユーホーキャッチャーの場所に着くと友香が目を輝かせた。


「これを取って欲しいの」


俺は友香の手の先にある箱を見た。だいだい6000円ぐらいか、ユーホーキャッチャーにしては高い物だな。てことは取るのは難しいってことだな。

本気でやるか。


俺は両替機で千円を100円玉十枚に替えて500円をユーホーキャッチャーのお金を入れるところに入れた。

こいうユーホーキャッチャーは五百円を入れれば回数が一回増えるのだ。


俺は一回目をつむりYouTubeで見た箱の取り方を思い出す。

確か真ん中にはアームをいれるなだっけな。

箱を90度横にずらすように動かす。

その為には左の隅に狙いをつけてアームを動かす。

隅を狙い続けてたら横に斜めで引っ掛かった。回数が尽きたのでもう一回五百円入れる。

手前の両端を狙ってアームを動かす。

すると綺麗にポトンと落ちた。

俺はしたの景品が落ちた場所から指輪の入った箱を取って友香に渡した。


友香は箱をすぐに開けると指輪を薬指にはめた。

へ?何で薬指女子って指輪があったら皆薬指にはめるのか?

俺はねるを見ると目を見開いて口をポカーンと開けていた。

要するに普通ではないということだな。

じゃー何で薬指なんだ?

仲がいいと薬指につけるんだなきっと。俺の知らない何かしらの効果があるんだな。


友香は手を頬に当てながら指輪貰っちゃとか呟いてる。

あ、ねるが復活した。すごい形相で友香の元に近づいた。

少しするとねるが泣きそうになりながら俺のことを上目遣いで覗いてくる。


「ねえ、こうくん渡しも指輪欲しいなー」

こっちは純度100%セントのあざとさだ。

ふーあざとくても純度が高ければグラッとくるな。

だが

「もう景品はないんだ諦めてくれ」

ねるは目に見えてがっくりとうなだれて、友香は勝ちを確信したどや顔を披露していた。

なんで君たちが勝負したみたいになってるの?

勝負だったら精神的にダメージを負った俺の負けで君たちの勝ちだろ。

俺はこっから本当の地獄が始まることを忘れていた。

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