第5話

四限目の終わりのチャイムが鳴り昼休みの時間が訪れる。すると俺はねるの席と自分の席をくっつけた。俺は待ちに待った弁当の時間だ。

このお弁当は愛する我が妹が作った弁当なのだ。何故だか心の中で歓喜のようなものを感じる。


そりゃ優香の弁当は歓喜するほどおいしいが、いつものことだろう。俺は自分の心に疑問を持ちながら弁当を広げた。


「相変わらず、愛情詰まってるような弁当だよね」


ねるは俺の弁当を見てそう評した。


「まあ、ブラコンだからなあいつ」


ねる苦笑しながらそうだねと言った。


「こうくんの家に行くと優香ちゃんが何回も部屋を訪れて2人きりにさせないから、最終的にうちの家に遊びにくるようになったんだよね」

俺はだし巻き卵を食べながらがそんなこともあったなと言った。

「優香ちゃんと最近会ってないけど元気?」

ねるは鮭のムリエルをたべながら言った。

「ああ元気だぞ、怖い映画見ようとうるさいが」


「怖い映画好きなの?」


「最近ハマったぽいんだ」


「それできゃーって言ってこうくんに抱きつくんだね」

怒気を含んだ声音とジト目をして俺を見た。

そんな怖い顔すんなよ可愛い顔が台無しだぞ、俺だって抱きつくのはどうなんだって言っているしな

「確かに抱きついてはくるが兄妹としてそれはまずいじゃないかと言ってるぞ」


「でも許しちゃうんだよね」

さっきよりも怒気が強くなった気がした。

やばい怒ってるな、俺悪くないよね?

まぁ、でも怒ってることに変わらないし謝っておくか

「ごめんな、これからは気をつけるわ」


「私怒ってないよ、ただ兄妹でひっつきすぎなのはどうなのと思っただけだよ」


無意識なのかまあいいや謝ったし、今はそんなに怒気がこもった言い方じゃなかったし許してくれたんだろう


「そんなことより早く食べようぜ、昼休みが終わっちゃうしな」

そうだねとなる流行って残りのご飯をんーおいしいと言って幸せそうに食べた。

俺も優香の作ってくれた愛妻弁当を味わいながら食べる。




互いに弁当が食べ終わり、俺たちはお茶を飲みながらくつろいでいた。

「ねえ、今日の放課後どこ行く?」

テラスモールでもいいんだがあそこだとブランドものが確か少ないんだよな柏は多すぎ周りからないし、プラーレ松戸でいいか

「プラーレ松戸でどうだ?」


「いいよー松戸ならブランドものそこそこあるし、いろいろ回れるしね」


「じゃーそうするか、ついでに俺も何かを買うか」


「こうくん何買うの?」

首を傾げながら聞いてきた。

「財布だな安いのだけど」

俺は財布を出してボロボロ具合を見せた。

「高いやつの方が丈夫でいいんじゃない」

俺の目をまっすぐに見つめながら言った。

俺はねるの目ってこんなに綺麗なんだなと思いながら

「俺はデザイン製で決めてるからな、安いやつの方が俺好みなんだよ」


「それならいいけど、じゃー高いのが気に入ったらそれ買うの?」


「まあ、そいうことになるな」

そんなことを話してる昼休みが終わった。

俺たちは席を元の位置に戻して次の授業を待った。




授業が終わり、それぞれクラスメイトたちが帰る準備を始める。俺も例に漏れず帰る準備をし始めた。

ねるは友達と談笑しながら帰る用意をしている。あれだと少し待ちそうだな準備が終わったら本でも読んで待っているか

ちょうど初めて読むラノベがあるし、それを読んで待っていよう。

俺は帰りの支度が終わり、椅子に座ってラノベを読み始めた。

....当たりだな、主人公の心情摸写が秀逸でいいな。あと作者から教養を感じる。

俺は次の刊も買うかと決めてそろそろねるが友達と別れる頃かなと思い本を閉じようとしたら

「こうくん、何読んでるの?いつものと違うみたいだけど」


「俺の青春ラブコメは間違っているというラノベだ」

俺は表紙を見やすいように本を横にしながらねるに見せた。

「へーイラストはかわいいね、読み終わったら貸してくれない?」


「いいぞ、2日かかるがいいか?」


「いいよー土曜日だね、テスト勉強終わったら借りようかな」

ねるは顎に人差し指を当てながら言った。

「とりあえず教室を出ないか?」

ねるは周りを見て、誰もいないことを確認すると、

「そうだね、帰るの最後になっちゃたね」


「そんなに話してないと思うんだがな、もう用意できてるだろう」

ねるはうんと言ったので俺はリュックを背負って教室の外へと向かった。

ねるも楽しそうな顔をしながら俺の横についた。

ちなみに今は無言だ。何がねるを楽しい表情にしてるのか謎だが、わざわざ理由を聞いて仕方ないのでそのまま駅まで無言でいた。



駅に着くと、ねるから会話を切り出した。

「ねぇ今日の日本史面白かったね」

さっきよりも楽しそうな顔をしながら話してきた。

「そうだな、特に古墳のマークを企業に例えたところはわかりやすかったな」


「そうだね、後は人間は最初はでかいものを好むけど大人になるにつれて質の良いものを好むようなるから古墳も小さくなったていうのには妙に納得したよー」

俺は昔から歴史物が好きで、よく歴史関係の本を読んでいる影響か、ねるもよく本やテレビを見るので難関大学に受かるぐらいの知識が俺たちにはある。

それでも退屈しない授業をするのだからあの先生はすごいと思う。

「質を重視かー、なら質を重視してねるはブランド物を買うんだな」


「長く持つし、デザインも優れていているしね」

ねるは俺に財布を渡してきた。

確かに肌触りもいいし使えば使うほど味が出る、確かにいいものだなとわかる。

だけど俺はやっぱあまり高くないブランドのデザインが好きだ。シンプルでな

俺は財布をねるに返した。

「ありがとうな、高い財布の良さは分かったけど、俺やっぱりシンプルなデザインのやつが好きだわ」

ねるは寂しそうに分かったと言って、財布をしまった。

ねるのいいところは人に押し付けないところだ。

ねるは好みが違ってもそれを強制をしない、だから俺がこれだけねるの隣を心地いいと思っている理由なのかもしれない。

心地良くてそのままだといつか取られるぞ

ん?なんだ頭の中に誰かの声が響いた気がする。

まぁ昨日せいだろう数学でノートを取ったから疲れたんだろう。

そう思っていると電車が来たので多少の違和感はあるだろうと思い電車に乗った。







 

  




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