第2話

「こうくん起きて朝だよ、遅刻しちゃうよー」

ベットをポンポンと叩きながら可愛らしい声に起こされた。


ここは現実か?目の前には垂れ目で目鼻立ちが整っていて、黒い髪のストレートヘアの美少女の長濱ねるが俺の目の前にいた。


「ねるなのか?本物なのか」


俺は何故だか感動して泣きそうになった。まるで今までねるがどっかに行ったかのように。


「何おかしいこと言ってるの?私はねるだよ」


「だよなすまん、なんだかねると離れてしまった気がしてな」


ねるは目を細めた慈しみに満ちた微笑みを浮かべた。


「わたしこうくんの側にいつまでもいるよ」

なんだかその言葉に激しいデジャブを感じた。


『ねるを絶対に離すな』


心の中から謎の声が聞こえた。絶対に話すなって離れるのか?ねるが離れないよっと言っているのだから離れないだろうと思い込もうとしたがなぜだがねるが遠くに行ってしまうような気がした。


「とりあえず早く用意しないと遅刻しちゃうよ」


俺は心情を隠すように慌てて時計をさっと見ると、時刻は8時になろうとしていた。


「やべーじゃん。ねる自転車で来てるよな?」


ねるはおっとりとした様子きてるよーと言った。


ねるは前から変わってないな、決してこんな時でも慌てないところとかな。

まぁいいやとりあえず制服に着替えよう。


「ねるすぐに用意するから玄関前で待っててくれ」


「わかった、下で待ってるねー」


俺は急いで制服を着て、リュックの中は見る暇がないので忘れ物しててもしょうがないという気持ちで、リュックを背負って階段を降りた。

ねるが携帯をいじりながら待ってる。


俺の階段を降りる音に反応したねるは携帯をバックしまい、玄関で靴をはきドアを開けた。


「ギリギリセーフだよこうくん、早くいこっか」


そういうとねるは自転車にまたがり、俺が自転車に乗るのを待った。

俺は素早くドアを閉めて鍵をかけて自転車に跨る。


「んじゃ行くぞ、時間ないから飛ばしていくからな」

俺はそう言うと自転車かっ飛ばした。





馬橋駅にはなんとか間に合って俺はほっと胸を撫で下ろした。


ねるはぁはぁ息をしながら飛ばしすぎだよーとと口を膨らませながら文句を言っている。あざといな可愛いけど。


俺は間に合ったんだからいいだろと言って駅に入った。

この時間帯はいつも行ってる時間帯よりも生徒が多い時間帯なので駅が生徒でごった返している。


「はぁー座れそうにないな」


「そうだね、今日は手すりかー別の場所に行かないで真横にいてね」


「わかってるよ、痴漢対策だろ」


ねるは呆れた表情になって、


「こうくんあい変わらず....鈍感だね」


俺はムッとした表情になり、


「俺は相手の意図がわかる敏感男だぞ」


ねるはどこがよと呆れるのを通り越してたようにため息を吐きながら言った。すると電車が来たので俺たちは電車乗る。


やはり席はどこも空いておらず、俺たちは手すりにつかまって平和台駅まで立つことにした。

二駅ぐらい通ってからねるが俺の方を向いた。


「今日ショッピング行きたいんだけど一緒に行かない?」


ああ荷物持ちか、今日は暇だし仕方ない付き合うか。


「ああいいぞ荷物ー」


そこまで言いかけて


『そうじゃないだろ』


ねるは俺の様子を見て不思議そうな表情している。


「ああショッピングだな、俺も選ぶの手伝うよ」


するとねるは目を見開いて驚いていた。


「こうくんがそんなことを言うなんて、てっきり荷物持ちだろとか言い出すかと思ったのに」


俺はあれは不正解だったなと思いつつ。ねるが俺が思ったことに一言一句合っていることにドキッとした。


「たまには俺も気の利いたことぐらい言うぞ」


あの声はなんだったのだろうか?起きた時も聞こえたんだが。まるでもう1人の自分がいるような感覚だった。俺多重人格者じゃないしきのうせいだよね。じゃないとねるのが怖いんだが。おれ自身は寝てるのに意識がないの仁辺ての人格が身体を支配してるって恐怖だろ。


「それで何買うんだ?」


ねるは弾けるような笑顔でバックと答えた。


「もう古くなっちゃてねー、そろそろ新調しようと思って」


「バックかー、それなら選ぶ自信あるぞ妹のによく付き合わされたからな」


ねるは優しく目を細めた俺の好きな微笑みかたをした。


「楽しみにしてるね」


それからどんなバックがいいか話してる駅に着いた。


俺は外に出ると背伸びをする。ねるはそんな俺を見て優しそうに見守っていた。


「じゃー行くか」


そう言うと、ねるはうんと言って俺の横に並んで歩いた。


はぁー眠い、妙に夢が鮮明であんま寝れなかったからか。多分起きれなかったのもそれが原因だな。


「ねえねえこうくん」

ねるは俺の腕をツンツンと人差し指てつつきながら話しかけてくる。なにそれかわいい。国宝レベルの仕草だ。そして告白して振られるレベル。いや振られちゃうのかよ。一人で悲しんでいた俺であった。


「なんだねる?」


「私の事どう思っているの?」


『そんなの幼馴染みだろうと言おうとしてるならやめておけ。素直になるんだ』


なんだかなぞの声にしなさたがうのは癪だがたまにはいいかと思い素直に思ったことを言った。


「一般的には百人中百人がねるの事を美少女というだろうな。まぁ俺もそう思っているが優しくてたまにわがままで、一度決めたことは曲げない芯を持ったすごいやつだって思っているな」


俺は恥ずかしくなって最後の方はそっぽを向きながらぶっきらぼうに言った。


あの謎の声は誰なんだろうか。

多重人格の線はないとしたら幽霊を見すぎて今度はとり憑かれでもしたのか?

そう思いながらねるを見ると、口をパクパクし

ながら驚きながら俺を見ていた。


「なんだそんなに驚くことか」


「驚くことだよ、こうくんに美少女だとか性格まで誉めてくるなんて」


ねるは思い出したのか手を紅潮させた頬に当てながらくねくねして嬉しそうににやけていた。そんなに嬉しいのか。


俺は止まっているねるにあまり時間ないぞと言って先を歩く。


ねるは待ってよーと言いながらパタパタと小走りで後を追いかけてきた。


なんだかすごく機嫌が良さそうだな。美少女なんていわれなれてると思うんだが。


俺は学校に着くと何故だか1人で卒業した時の記憶が蘇ってきた。

なんだこの記憶、覚えがないどころかまだ卒業すらしてないんだが。

俺は表札をジーと見てなにかを思い出そうとしてたが、しかしなにも思い出せずなかった。まあいいや早く学校に入るか。


ふとねるを見ると学校の表札をジーと見てる俺を不思議そうに観察していた。

俺は行くぞと言うと、ねるは優しく微笑みうんと言って俺の隣を歩いて学校に入った。







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