『小さなお話し』その204・・・・はとさぶろの本懐 

やましん(テンパー)

『はとさぶろの本懐』 その1

  『このお話しは、フィクションです。この世とは関係ございません。』




 鳴り物・・・・ねこママ


 語り・・・・・やましんさん



     幕が上がる



 〽べべん


『さて、雪、降りしきる、霊聖20年12月14日、はとさぶろ率いる、わずか6騎は、『上側の森』(別名『杖出の森』)にあった、鷹綺羅門戸之介禿鷹の屋敷に押し入ろうとしていたのだ。


 鷹綺羅門戸之介禿鷹は、その頃には、裏政府の重鎮であった。その正体は、カラス族である。』


 

 〽 べべべ、べべん、べん



 『裏政府は、表政府を陰から操るために、『宇宙ごき』が各国に設立させていた、秘密機関なのであります。』



 〽 べべべべべ、べん、よ!



 『多くの裏政府の実力者は、人間族ではなく、『宇宙ごき』によって、高度な知能と、すぐれた肉体を与えられた、『動物たち』だった。』


 

  〽 べべんべべん、にゃ!



 『はとさぶろは、もともと、裏政府のキャリア官僚だったのでありまするが、しかるに、裏政府の政策に不満を持ち、人間とは、協力すべきという、同じ志しを持った仲間と、改革を実行しよとしたのであった。』


 

  〽 よ、べんべんべんべん



 『しかし、かの鷹綺羅門戸之介禿鷹は、そのはとさぶろを、会議の席で叱りつけ、愚弄したのである。』



 『やあーーい。田舎はと殿、礼儀も知らぬ、うつけもの。田舎はとじゃ、田舎はとじゃ。くさいくさい、立ち去るがよかろうに。貴はとは、よけいなことは、するんじゃないかあかあ。大人しく、引っ込んでおれかあ。裏政府の意図も解さぬ田舎はと殿。ぎゃ、ぎゃ。ぎゃ。かあかあかあかあ~~~~~~かかかかかかかかかあ! 』



 〽 べんべん、べん、べべべえべえ、べべん、べん。よおっ! にゃ!



 はとさぶろは、持っていた、スター・サ-ベルで打ちかかろうとしたが、周囲に押しとどめられ、それこそ、『田舎のはとスパイ』として、左遷されたのである。



 〽 べ~~~ん、べ~~~~ん、べべ~~~~~~ん、べ~~~~~ん、べ~~べ、べ~~~の、べ~~~~~~~ん。(ショパン氏のピアノ・ソナタ第2番の葬送行進曲である。)


 

 それでも、弟おもいのはとさぶろは、自分よりも高官だった、弟の出世の邪魔になるからと、じっと、遠慮していたが、やがて、その弟までも、禿鷹の策略に寄り、裏政府から追放されたに及び、ついに、仇討、と言うか、復讐、と言うか、を、決意したのである。』




 〽 うにゃ! べべべべ~~~~~ん。べべべべ~~~~~~ん。よっ! にゃっ!

  (ベート-ベン氏の第5交響曲の冒頭である。冒頭には、名高い休符が入っているのだ。)



 『さて、その討ち入りの晩の頃、やましんさんは、『上側の森の動物園』に飼育される身になっていたのである。そこに、身の回りの世話をしていた、ねこママが、打ち入りの情報を持ってきた。ねこママは、宇宙ゴキのスパイだったが、さらに、レジスタンスのスパイでもあった。つまり、世に言う、二重スパイである。』



  〽 べべべん、べべっべん、べべん、べん、どんつくどんつく、にゃ!



 『やましんさん、はとさぶろに、肩入れしてにゃん。人間の力が入れば、それはもう、精力倍増、二倍二倍にゃんこ。』



 『あやまあ、ママさんや。やましんは、年寄りだ。(〽 べん、べん、ぼろっ!)なんの助けになろうもの。』



  〽 べべべ、べべべ、べべべのべんべん、ぽろっつ。



 『なにをおっしゃるやましんさん、あなたを、職場から追放しようとした、あの小谷上側左門之丞は、鷹綺羅の息がかかった人間にゃん。くうやしかあ、ないにゃんか?』



   〽 べべべん!! べべん!!



 『なんと、ママさん。それは、まことか。』


 『もちにゃんこ。』


 『むむむむ。よかろう。しかし、鷹綺羅たちは、宇宙ゴキの武力を与えられていると聞いたが。』



 〽 べべ。べべ。ぽろん。 ・ 『よ! じゃやじゃじゃじゃ~~~~~~ん!!!』 (再び、第5交響曲冒頭)



 『そこは、言わずもがなにゃん。しかし、あっちは、ごき大将から、『新兵器』を預かってきたにゃんこ。(〽ぽろ、ぽろ、じじゅゃん。じゃん。) それに、ここに、収容された多数の人間や生き物たちが、立ち上がるにゃん。(〽 じゃん、ぽろ。ぽろ。・・・)みな、かつて、いち敗地にまみれた、人間たちや、生き物たちにゃん。また、地元のごきにも、大将の信奉者がいるにゃ。さあ、いざたて、やましんさん。御旗に続け!』


  (〽 じゃ~~~~~~~ん!!   〽️じゃ、じゃ、じゃあーじゃ、じゃ、じゃ、じゃ、じゃ、じゃあー、………学生グリークラブに人気の『いざたていくびと』である。)



 『なんの、旗かい?』


 『自由の旗にゃん、人類永遠の旗印にゃん。立て、自由の為に!』



 ああ、いまこそ、『上側の森』の、あの、『北郷さんの銅像』のたつ岩場に、たかだかとはためくは、『にこにこ顔』の、人類自由の旗である。


 

 〽 じゃんじゃんじゃあ~~ん、じゃん、じゃじゃじゃんじゃん、じゃ~、じゃっじゃ、じゃあ~~ん、じゃっじゃじゃ~~~~~~ん! 【ベートーベン第5交響曲の第4楽章】



  『よし、立ち上がろう、討ち入りだ。』



  『がんばって、なんこ。』


  『あら、ママは。』


  『にゃんは、見学。それが、役目にゃん。』


  『あらま!』 



    〽 じゃっじゃ、じゃ~~~~ん、じゃっじゃ、じゃ、じゃっじゃ、じゃ~~~~~ん。・・・・・・・・



 


    ************   ************



                          つづく・・・・・・・


 



 








 



 


 

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