第10話 魔法の授業
愛理と葵は、その食堂に入ると窓側の席に座ろうとしていた。窓から見る学校の敷地内や、大きな駅の景観を見ながら食べようとしていたのである。校舎内には大小さまざまな木々や草花が植えられており、食堂の側や正門付近には桜の木や季節折々の木々が植えられている。
登校時や昼食時にはその草花や木々を見て癒されることが出来る。愛理はジェノベーゼを食堂入り口の食券券売機で購入をして愛理と共に列に並ぶ。葵はオムライスの食券を購入して、食べるのを楽しそうに待っていた。この学園の食堂では、全ての料理の金額は五百円で統一されている。
愛理は初めて券売機で買うときに、その値段にも驚いていたが料理の美味しそうな匂いが漂う食堂にも驚いていた。
「皆美味しそうに食べてる! 私も早く食べたい!」
「ね! 私も食べたーい!」
料理のカウンターに到着をするまで、愛理は先ほどまでの死にそうな表情から活気溢れる笑顔に変わっていた。ついに愛理達の順番が回ってきて、愛理と葵は食券をカウンターの受付にいる恰幅がいいおばさんに渡す。すると、食券を渡して数十秒で料理が運ばれてきた。
「既に色々な料理を作ってたんだ! こんなに大勢の生徒たちがいるんだから、作り置きはしておくか」
「それでも美味しそうだよ! 早く食べようよ!」
そんなことを思いながら葵と共に窓側の席に座ると、葵がこのオムライスの匂い凄い美味しそうだよと喜んでいた。葵が美味しそうと言う中で、愛理はジェノベーゼをじっと見ていた。葵は何をそんなに見ているのと聞くと、愛理は凄い美味しそうで驚いてたと返す。
学校の食堂の料理だからとそこまで期待はしていなかったのだが、想像以上に美味しい料理が出てきたので愛理は驚いていたのである。
「このジェノベーゼ美味しそう!」
席に座って葵と食べ始めることにすると、愛理はすぐにフォークを右手に食べ始める。一口食べた愛理は、その味に驚愕した。外食などで食べるジェノベーゼより、断然味が美味しく、その食べ心地も最高であった。愛理は美味しいと言いながらスピードを上げて食べていると、葵が早すぎだよと心配をしていた。
「それでも美味しくて、やめられない!」
「凄い良い笑顔で食べてる……それほどに美味しいのね!」
そう言っている愛理の顔は幸せそうであった。葵はそんな幸せそうな愛理を見ながら、オムライスを食べ進める。
「このオムライスも美味しい! ケチャップも味が濃くて美味しいし、卵も凄い美味しい!」
愛理と葵はこの食堂の料理のレベルの高さに驚きながら、周囲の生徒たちの料理を食べている姿を見て、他の生徒たちも美味しいと言っていて凄い食堂だと感じていた。
「これは良い昼食になりそう!」
「そうだね! 毎日楽しみだね!」
愛理は笑顔のままジェノベーゼを食べ終えると、葵も同時に食べ終えたことを見ていた。愛理は水を取ってくるねと言って席を立つと、葵は外を眺めることにした。
「桜の木が綺麗だなー。 愛理ちゃんが友達になってくれたし、他にも友達出来たし高校はまた違って楽しいなー」
笑いながら外を見て感慨にふけっていると、愛理がコップに水を入れて戻ってきた。
「外を見て何してるのー?」
「外にある桜の木を見てたわー」
葵が外の何を見ているか聞いてみると、葵は桜の木を見てたと言う。愛理は外の木が見れるし、この場所良いよねと笑っている愛理に葵はだよねと声を上げて同意していた。
「お昼休みはここにいるだけで、癒されるー」
「また明日も来ようね!」
「うん! 絶対来る!」
葵が机に突っ伏していると、お昼休み終了五分前のチャイムが鳴った。
「もう終わり!? もっとここにいたかった……」
葵は早いよと愚痴を言いながら、愛理に連れられて教室に戻っていった。途中、授業でないで食堂にいると言ってたが愛理がそれはダメよと注意していた。五時間目が終わると、六時間目にはついに魔法の授業が開始される。生徒達はやっとだと喜んでいると、愛理と葵は第二体育館に行けと指示された。
第二体育館では既に星空校長が待機していた。 愛理と葵の姿の見つけた星空校長は、愛理と葵に二人は属性の本は持っているかと聞いた。 第二体育館は、魔法実技の専門の体育館として建設した体育館である。 舞台にある装置によって、様々なシチュエーションを再現出来るので、実践に活かせると生徒たちに人気の体育館でもある。 ちなみに、第一体育館より二回り大きく建設されている。
「私はこの本があります!」
愛理はこの前もらった光属性の本を見せ、葵は市販されている魔法書を見せる。 星空高校は、葵には自分の持っていた闇属性の魔法書を手渡し、愛理にはその魔法書はどこで手に入れたのかと聞いた。
「図書館で初老の男性にもらいました。 突然現れて消えたので不思議な体験でした……」
「初老の男性……そう言った人のことは聞いたことがありませんね……」
その言葉を聞いた星空校長は、私にも分かりませんが、その魔法書には不思議な力を感じると言っていた。
「その光属性の魔法書は、特殊な感じがする。 愛理君にとってとても良い魔法書のようだ」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
その言葉を聞いた愛理は、ありがとうございますと返す。そして、星空校長は、光と闇属性の初級魔法から始めようと言う。
「光属性と闇属性は特殊すぎるので、その魔法も他の属性魔法とは違い攻撃や防御、支援魔法の数が多い」
「攻撃魔法沢山覚えたい! それで強い魔法使いに私はなる!」
数が多いと聞いて、愛理は魔法が沢山覚えられると意気込んでいた。それから、星空校長のもとで光と闇属性の初級魔法を発動させて第二体育館の床から出現した案山子に向かって発動した魔法を当てていた。
「ライトソード!」
愛理は図書館で修得したライトソードを発動させて、案山子に攻撃をしていた。しかし、案山子は足を出現させて攻撃を避けてしまう。
「愛理ちゃん! 私の魔法で……ダークセルメント!」
葵は愛理に攻める案山子の動きを封じるために、闇属性の初級魔法である相手の動きを封じる魔法である。葵はその魔法によって、愛理に迫る案山子の動きを数秒止めることに成功した。愛理は右手のライトソードを案山子の腹部に突き刺した。
案山子を倒した愛理は葵にありがとうと言うと、葵の背中にもう一体の案山子が蹴りを入れる。 その案山子の蹴りを受けた葵は、肺から酸素が漏れ出し、呻き声をあげて吹き飛ばされてしまう。
「葵ちゃん! この案山子!」
「うん!」
愛理は葵を吹き飛ばした案山子に向けてライトソードで切り裂こうとした。 しかし、その案山子は愛理の攻撃を避けて愛理の腹部に前蹴りを当てて後方に吹き飛ばした。
「がふ……この案山子強すぎる……」
「愛理ちゃん大丈夫!?」
「まだいける……けど、痛みが……」
愛理は蹴られた腹部を摩りながら、右手にライトソードを、左手にライトシールド、そして未完成のライトスピードで脚力を強化して案山子に突進していく。 案山子に数倍のスピードで近づくと、その速さに案山子は慌てて愛理に攻撃を仕掛けるも、ライトシールドでその攻撃は防げた。
そして、防いだのちにライトソードで案山子の腹部に突き刺した。 突き刺された案山子は、その場に倒れた。 二体の案山子を倒した愛理と葵を見た星空校長は、そこまでと言って戦闘は終わった。
「案山子と突然戦ってもらったか、どうだっただろうか? 戦闘は突然発生することもあるし、しない場合もある。 君達はこれから魔法を学ぶにあたって実践と同じ戦闘練習もしてもらうことになる!」
その言葉を言った星空校長は、次に自身で使う武器を選んでもらおうかなと言った。 星空校長は、そう言ってこの体育館の奥にある備品室から様々な武器を運んできた。剣や槍、こん棒やハンマー、チャクラム、大剣など様々な武器が立てかけられていた。愛理や葵はこの多くの武器の中からどれを自分で扱おうかずっと考えていた。
「やっぱり私はこれだわ!」
愛理は剣を右手で掴んで、これで私は戦うと宣言した。葵は何を武器にしようか悩み続けている様子であり、愛理は葵にどんな武器で戦いたいのと聞いてみた。すると私はこの武器で皆を守ると槍を手にした。葵は槍を手にすると軽く振ってみることにした。
「私の力じゃまだうまく扱えないけど、これから特訓していくわ!」
そう言う葵は、槍を軽く振り続けている。葵とは違って愛理は、長剣を片手や両手で振るってその感触や振り方を覚えようとしていた。
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