第2話:プロローグ-2
──ギルド会館内は混みあっていた。
けれど、私は仮にも冒険者の
そして手に持っていた布袋を
「ジゼル、これお願い」
「あ、レベッカさん。もうっ!
私の担当である長く
「ひゃ!! ……レ……レベッカさん!?」
ジゼルは
「レベッカさん……何ですか? こ、これ、は?」
「何って……見ての通り、
「…………あえて、あえてお
この子だって《
私は窓口の台に
「《
それまで
どうやら、私達のやり取りは注目されているらしい。
けど、私にとってそんなのはどうでもいい。
私は一刻も早く、これを辺境都市へ届けてほしいだけなのだ。
ジゼルが身を乗り出してきて、言葉を振り
「……レベッカさん」
「何?」
「何回、言えばっ、分かってくれるんですかっっ!
「? ソロだけど??」
少女は頭を
──この世界において、龍とは悪魔と並ぶ最強種の一つだ。
並の冒険者ではまず歯が立たず、毎年多くの
しかし、それらを
富と名声を一気に手にできるため、冒険者なら
かつての私もそうだった。
しかも……冒険者ギルドが
決して個人で挑むような生き物ではなく、国家単位で対処するような相手だ。仮に倒すことができたとすれば、大陸全土にその名が
事実、つい先日、帝国東部地域の王国国境の村々を
ここ百年以上、大規模戦争こそしていないものの、歴史的背景からいがみ合い続けている三列強があっさりと共同歩調を取る程に、上位の龍や悪魔は
……私だって単独でやり合いたくなかったけど、
「ギルドで素材の買取りは出来ないの?」
ジゼルの顔が勢いよく上がった。
「そ、そういう話をしているんじゃありませんっ。
言葉を
「一頭分あるから全部お願い」
「…………今、何て?」
「雷龍を討伐したのよ。首だけでも
聞き耳を立てていたのだろう
「なぁ、今……雷龍を討伐した? って言ったのか?」「私もそう聞こえた」「しかも、単独で?」「
しん、と静まりかえったギルド内で各人が目を合わせあい──
「ち、ちょっと静かにしてくださいっ! まだ口外しないでっ!! そこっ!!!
ジゼルが
──龍を討伐した冒険者。
しかも単独での討伐者となると、大陸に数多いる冒険者の中でもほんの
以前の私なら周囲の冒険者達と同じ反応を示したと思う。
……だけど、この程度では、まだまだだということを私は知っている。
これでようやく『入り口』に立てるかどうかなのだ。
片手を軽く上げ、冒険者達に注意している少女へお願い。
「騒がしくなったし、今日は帰るわね。
ジゼルが
「え? レ、レベッカさん! ちょっと待ってくださいっ!! 龍殺しだと、色々と書いてもらう書類がっ! 特階位
「まーかーせーるー」
ジゼルに
──手紙の返事、今回もすぐに来るかしら?
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