第63話 さとり過ぎ世代

「なぜ人は別れるのを悟っているのに出会うの」


「どうして、人はありもしないことを悟っているのに、恐れるの」


「なぜに、人は返せもしないのに、借りるの?」


ある人は言った。


音は返す必要はない。想っているだけで、それが音返しになるのだよ。


「どぼちて、切ないとわかっているのに、聴いて涙してしまうの?」




人里離れた、故郷から答えと答え合わせがアンサーバックしてきた。



………それ…それ…ソレは……


その答えのみそ…みそ……ミソは…


………受信できません。


電波が届きません。


只今、お聴きになった音楽は……





今、悟り過ぎ世代に流行っている歌がある。


「有給休暇を取るのに、理由を告げる必要はない」という歌詞が印象的な歌




(職場で)


上司「おう、明日有給か?ところで…いや、いいんだ」


部下「あのー。課長、明日は…」


上司「いいんだ、俺が仕事片付けておくから…ゆっくり休め」


部下「はい」



(独り残業後、居酒屋で)


上司「告げて欲しかったな。どんな用事だったのかな」


(へい、いらっしゃい!こちらのカウンターにお座りください)


部下「やっぱり、告げに来ました」


上司「……あっ!!」


有線放送で流行歌が流れる


「おじいちゃんが亡くなって…母親が危篤で…法事がありまして…家の鍵が壊れて外に出れなくて…」



現実的にこの曲を聴いて幾千万もの涙を流していたのは、サラリーマン上司たち出会った。この曲に

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