第59話 イケナイコトシヨ

1971年 イケナイジダイが到来シタ








トントントントン

トントントントン  ふたりの階段を翔けあがる足音が重なる


「イケナイコトシヨウ」

「イケナイコト?」


ぼくは、ハットして息が出来ないくらいビックリした。そしてこう言う間もなく、夢の扉を開ける。


「法律を遵守して」「早寝早起き」「努力は裏切らない」「心のまま 蟻のまま」


彼女の部屋には張り紙だらけだった。おまけに机のデスクマットには僕の写真が挟んである。



「なにじゅんしゅって」


「従い守るということ」


「順守でないの?」


「そうとも言う」


「損なこといいから イケナイコトシヨ」


「ああ」ぼくは何もわからず生返事する。


彼女はシャワーを浴びてくるといって、1階の浴室へと降りる。

ぼくは彼女の部屋で、遵守と順守の想像をする。


「んーーー ああ言ったけど、違うのか?」


「おまたせ、〇〇くんもシャワー浴びてきて」


「いや、今朝浴びてきたから、いいよ」

「何言ってるの、いいから1階隅のお風呂行って来て」


ぼくは、遵守と順守の違いを考えながら、下の銭湯の暖簾を今、ところ。


【1971年 彼女の家でフルーツ牛乳を一気飲みして帰った。無銭飲食ドキドキしたあおの頃。まだ青かった何もかも】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

頭の中wo× 静寂 @norigon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ