第53話 KIOKU

「KIOKUって知ってるか?」


「KIOSUKUのことか?」


「いや、KIOKUだ」


「ケイ アイ O ケイ U」


3分前に浮かんだアイデアが3分1秒後には消えていたりする。O、そうU時は、そのNOアイデアはたいしたことがないと皆思うようにしているの。




「お前の沈んだKIOKUを浮かびあがらせて、拾わせてあげるよ」

友の記憶が僕に呼びかけ、さざ波かけてくる


「ほら、あと1時間後に浮かび上がってくるよ。用意しておいて」


BOKUは何を用意してよいか分からず、裸一貫でKIOKUの素に飛び込む。


「もっと泥泥になれ。素になれ、そう遠慮せず…ほら」

友の言葉はエスカレートしていく。


もう何時間、何日間、何年間泥に溺れただろうか…


行く日も行く日も、KIOKUは尽きない。とても無駄な時間にも思える。


どのKIOKUに顔を埋め、潜って拾って暖め直しても尽きないし、何を以ってこのKIOKUというものの完了と呼んでよいのかもわからない。





BOKUはある一瞬、特別なKIOKUと対峙する。真剣勝負で対峙する。


198X年


KIOKUは2丁拳銃に両手をかける。BOKUは丸腰だ。KIOKUは一歩引く、BOKUは詰める。KIOKUは更に引く、そして引き金を引く。


KIOKUがBOKUの脳天を貫く。飛び散る青…赤でなく、えっ青!?



その青い汁から、BOKUの欠片を知る。



「ずっと、記憶のことが好きでした」


暗号のようなスペルでその文字がグレーチングへと排水し永される青。


その後は、その汁や別のところから流れ出る汁たちが合流し、KIOKUの下へと溜まって行く性を知る。


KIOKUと記憶の切なさが混じり合い、より一層節なさが増す。


「BOKUも君のことを…」





KIOKUがBOKUの唇を閉じさせる。塞ぎきって息が出来ない。何も喋らせない。


それが誰しもに音連れルサ 「シ」



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