第46話 究極のマザコン野郎

その野郎は197X年、地方の病院で生まれた。


生まれながらに野郎は、視力が良く、優しく抱きかかえる母親の顔と横で手をたたき微笑む看護婦の顔を見比べ指を指す。


「こっちの方がいい」


看護婦はぼくを抱かしてと母親に許可を得て、ぼくを抱く。


「ほんと、かわいい子ね」


「そうでしょ。私に似てないけど」生まれ故郷では、とびきりの美人と噂のMY MOTHER。



ぼくは、大学生になり、故郷を捨て都会へと進学する。


田舎には居ない可愛い娘ばかりだ。小中高とたいした美人は居中田。


「中田君?」ふと、キャンパスで背後から声を掛けられる。


「え!?」


生まれて初めてこんなカワイイ娘を見た。しかもぼくに話しかけている。


(1週間後ぼくはふられることになる)


バイト先のレストランで、もっと綺麗な先輩のお寧さんに出会う。


「中田君って面喰いね」


「いえ、ただパスタが好きなだけです」


(2週間後に先輩に彼氏がいることを知る)


大学のゼミで教授の助手のお根井さんという人に会う。とてもスタイルが良く、白衣が良く似合う。


「根井さん。あなたみたいな綺麗な人には今まで出会った事がありません」

「ほんと!?嬉しいわ」


(3週間後にぼくは、もっと都会の東京へ旅立つことになる)


「この大学に編入できて、ラッキーだな」


「ねぇ 君?」


ぼくは、遊園地のようなキャンパスで、、


今まで最高最大の美女に出会う。


「明日、わたしの家で手料理ご馳走してあげる♡」

「まじで!?行きます!!」


その日が遂に来た。ぼくと彼女はメリーGOらんどのような、きらきら輝くスーパーマーケットに一緒に買い物へ行く。


「このお肉どう?」

「いいね。国産牛だけど、これにしよう」

「野菜は嫌いなモノがある?」

「好き嫌いはないよ」(女性に関してはとてもあるのだが…)


そんな会話をするうち、ぼくは彼女とはぐれてしまった。焦って、陳列棚と珍列棚の間から彼女の顔を懸命に探すが見つからない。見えるのは、これまで見比べてきた女の顔・顔・顔。(GAO);


生まれたての時の看護婦から始まり、あの娘、この娘、このねいさん、あの麗しき人…よくもこんなに惚れたものだ。あらゆる顔が買い物カートを押しながらぼくを見つめてくる。(他人のそら似)*



ぼくは焦りに焦り、遂に、コーナーで出会い頭に相手のカート自分のカートをぶつけ、女性を転倒させてしまう。


「ごめんなさい」

「いいえ。大丈夫よ。構わないで」


「そんなこと言っても。お詫びさせて下さい」この世で見たことも無い程綺麗な目を見てぼくは気を失う。







病院で目を覚ます。


「ほら、お母さまが来てますよ」看護師は優しく告げる。


「大丈夫?」


「母さん。なぜわかったの?」


「偶然来てたの」(目と目が合う)


「あっ」




ぼくはスーパーマーケットで見た目と同じ目を見てまた気を失った。


やっぱり俺はそうだったか。夢の中で気付く。


母と共に帰る、夜行列車の販売員に声を×。


「あなたほど、きれいな手先を見たことありません。そのジュースを…」

「もう、いいかげんになさい」


母は僕の手をたたく。

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