第28話 家人格
「なぁ イエジンカクって知ってるか?」
「ソン イエジンか、知ってるぞ」
「違う。家に人格があるってこと」
「そんなこと あるか」
「あるんだよ。見たんだ」
僕は残業でクタクタに疲れて帰った昨晩、間違いなく見てしまった。大通りから2本横路地に入った角、漆喰塗りの外壁にアスファルトシングルのこ茶れた屋根。
「俺の見間違いか?」
何度も目を擦る。疲れがたまっているせいだろう。
3度見してやっと気付いた。違和感に。
「やっぱり、2階外壁にはめられた大きな窓枠の2つの上に間違いなく、まゆげがついている」
/ \
/ \
- -
/ □ □ \
| |
| |
それ以来、仕事中も就寝中も食事ちゅうもあれが想像したくてたまらない。
「口はおちょぼ口それともセクシーなラメ系、はたまたナチュラルプルンプルン系…ああ、また家人格を考えてしまった」
「それは典型的なHHSですね」精神科医は冷静に告げる。
帰って医学事典で調べる。「home human syndrome」
「そんな病気ある訳ないさ」友人はうそぶく。
次の日彼も、恋人の家の家人格に悩まされることになり、友と僕はホームレスになったのは言うまでもない。そんなことイエナイ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます