第5話 「×」

あの夕陽に向かって書けるんだ。


そう、きっと×


あの情景を…


あの記憶を…


あの瞬間の忘れられない想いを…



BOKUは過去に遡って、その時の想いをメモ帳に書き綴っておいたものを読み返す。




「                   」


あの時、何もメモってなかったことを想い出す。


なにも感じず、無邪気に、無意識に楽しめたこと、言えなかったこと、勇気を出せなかったことをメモ帳に新たに書く。





現実に戻り、最愛の人にメモ帳を見せる。


彼女も、ずっと何も言わず、ポツリと糸粒、とてもきれいな涙を流した。



BOKUは思わず、その場で×だす。


彼女の答えはNOだった。女の脳は計り知れない。

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