第38夜・白の国の王と王子
リヒト・ガルシア。白の国の王宮で生まれた、当時の国王(つまり先王)とある娘の間に生まれた先王の末の息子だった。上には兄が二人、姉が一人いる。一番上の兄は要領の良い優秀な子供だった。次の兄はとにかく出来の悪い子供だった。彼が唯一の秀でていた才能は、“
リヒトの母が、ある貴族と娼婦の間に生まれた娘だと二番目の兄に知られてからは、彼のリヒトへの態度は過激な物になっていった。
鞭打ちなんて日常茶飯事だし、少しでも機嫌を損ねれば暴力だ。
彼の専属の召使いなどは、彼の気分次第で首を飛ばされる、杭打ちにされるなど、様々な方法で殺される事が頻繁にあった。
そんな人が、白の国の王になればどうなるか。
先王が病によって亡くなり、後継者の座につく者の話になる頃には、一番上の兄と姉は他国へ旅に出ていた為参加できず。今すぐ王を立たなければならないと急かされた国は、リヒトと二番目の兄__クライド・ガルシアのどちらかを王にする事に決定した。
国民の大半が“出来が良いのはリヒト様だ”と口を揃えて言う。当初はリヒトが王となる予定だったのたが、クライドのある命により、その予定は崩された。
“このままこの愚弟を王にするのなら、俺は地位を利用し国民の一部を打ち首にする。”
“この俺を王にするのなら、お前ら小汚い国民どもの望みを聴いてやる。”
最後の最後まで、クライドはリヒトを認めていなかった。
負けてしまった国民は表向きにクライドを王として認めた。
国民の不満の声を聞くようになったリヒトと■■■の■■は、クライドに度々反発し、王の座を降りるよう求めた。
それがついにクライドの逆鱗に触れたのか、ある事件により、
偶然に、確実に■■■はクライドに消された。
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