第32夜・旅路

「で?結局、白の国に行く事になったのね。…もう少し目的地をはっきりさせておきませんか、?」


八剱領土を去った三人は、馬車に乗っていた。神楽がそう訊くと、オールは苦笑する。


「そうだな。…それと。カグラ、オレはこの騎士団の団長えらいヤツだけどさ。オレはオレだから、敬語禁止な。」

「え"…っ。い、嫌よッ!団長で御館様なオールにタメ口だなんて、上下関係が…」


そう慌てて説得を試みるカグラだが、オールも折れない。

なんてしょうもないケンカだ、とリヒトは呆れ果て、団長オール団員カグラの喧嘩を眺めていた。


「そもそも、この騎士団では上下関係ってコトバは存在しないッ!今のところ、ルールとか目的地とか、そんなのを最終的に決めるのはオレだけど、初めはみんなで話し合うじゃねーかよ。

表向きにはオレが1番トップでも、この中ではみんな一緒なんだよ。」

「そ、そんなの、綺麗事に過ぎませんわ!そこが良いところなのですけれどッ!

わかったわよ!を辞めればいいのねッ。」

「ありがとうッ!」

「どーいたしましてッ!」


こうして、喧嘩は閉幕した。


(この二人…どうしてこんなに幼稚な理由で喧嘩して、こんなに意味のわからない方法で仲直りしたんだ…。)


「白の国を候補に出したの、リヒトだったな。何かしたいコトとかあるか?」

「…ぁ、俺?

俺は………、」

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