白国王族編

第31夜・団長

「よーし!次は何処行く?モンスターの多い場所でもいいかねー?」


「赤の国を出るのはどうだ?

俺としては…、その。白の国の様子が見たくて。」


「おー!カグラは?」


オールとリヒトが次に行く場所で盛り上がっている間、神楽は考えていた。


「わ、わたくしはどこでも構わないの。ただ、一つ、気になっていて。

この騎士団の団長はオールよね?

リヒトだったとしても、わたくし、まだ名前を貰ってないし…。

誰が【御館様おやかたさま】かもわからないから…誰の指示を聞けばいいのかわからないのよ…。」


「みんなが団長って言いたいけど、ダメなんだよな。

…じゃあオレで。あの時、(第30夜後半抜粋)キャンベル騎士団って言ったと思うし。」


「てっ………適当じゃなくって!?将来を担うのが団長の様なものなのにッ!…まぁ、でも……いい、のよね。こんな騎士団も。

それで、わたくしの名前は…?家名は団長のものキャンベルでわかったのだけれど…」


神楽が困った様に首を傾げると、オールはきょとんとした笑顔になる。


「名前も家名も、変える必要ねーよ。世間オモテはそうしなきゃダメなのかもしんねーけど、キャンベル騎士団は別にしないッ。」


「…えっ。」


「誰かに名乗る時はカグラ・キャンベルで、普段はカグラ・アカサカでいーんじゃねーの?な?カグラも、自分の名前に誇りを持てよ!」


今までは八剱に全て与えられ縛られていたが、今日からは違うのだと、神楽にとってそう実感できた瞬間だった。

家名を変えず【紅坂あかさか】に誇りをも持つ。

今までに神楽が実践したことのないことばかりだった。

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