第21夜・血
__________嗚呼、御館様は…
八剱 誠は、手加減をしている
手を抜いている。
戦いの途中であってもそんなことがよぎる程に、明らかだった。
八剱は、神楽を殺さない様に手を抜いている。その点では、神楽も少しは役に立つと思われているのだろうか。
それとも、反逆者をただ殺すだけでは生ぬるいと思っているのだろうか。
どちらにせよ、八剱に見下されているのだと、神楽は悟った。
(
もっと考えることができれば。
もっと、
こうだったなら、
そんな事を考えても
何も変わらない。
欲しいものは手に入らない。)
手を抜かれていると言う事実を確認し、神楽は怒ったようにその短剣で八剱の頬を斬りつける。
頰を斬られて尚、八剱は余裕の笑みだ。
(散々一族を馬鹿にされ、存在を馬鹿にされて…
今更引き下がれないものね……!
今持てる力全てで、八剱 誠を倒す…!)
「神楽ァ、俺の頬を斬りつけたくらいで安心するなよ?
八剱の血は凄いんだ。
常人離れした身体能力、分析力、記憶力。
比べて紅坂は特に何もなし!書物に書いていたこととは大違い。」
やっぱり書物より実践だな。と
(どうにかしてあの評価を覆さなくては……)
内心そう焦ってしまった神楽は、つい正面から攻撃を仕掛けてしまった。
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