第20夜・剣技

シャキン、と、剣と剣がぶつかり合い、擦れ合う音が辺りに響く。

神楽と八剱の【交代の決戦】だ。

それを見ていたオールは、ある疑問を抱いた。


「あれ?魔法は使わねぇのか??

確か、騎士団の団員の八割方は魔法が使えるって……」


「それは、ここが騎士団だからですよ。」


「「うぉ、!」」


リヒトに投げかけた筈の疑問が、別の者に受け取られ、オールは驚く。

投げかけられたリヒトも、かなり驚いている。

声の先______斜め後ろを見ると、オールと同い年くらいの少年が立っていた。


「こんにちは、お客様。僕は長嶺琉樹…、いえ、ルキ・ナガミネです。

よかったら解説でもしますよ。

…僕がしたいだけですけどね、、」


ルキと名乗る少年は、苦笑いをして神楽達の方を見て、またオールとリヒトに向き直った。


「騎士団だったり、武士団は…、太古の昔に存在した島国“日ノ本帝国ひのもとのていこく”発祥です。

日ノ本帝國では、僕達のような名前や、この集落のような建造物などの、独特な文化を持っていたそうです。」


「『タタミ』とかも??」


「恐らく。今の僕達はしませんが、そこでは家に入った時に履物を脱いでいたそうです。

その文化が色濃く残っているのが“騎士団”、更に濃く残っているのが“武士団”です。」


ルキが教科書を読み上げるように説明すると、リヒトは興味津々で聞いている。

一方オールは、内容はあまり理解していないようだが、楽しんで聞いているようだ。


「で…、魔法を使っていない理由を簡潔に説明すると…、

剣技の発祥が日ノ本帝國だったからです。魔法も使っていいのですが、基本は剣がメインとなります。」


「ってことは、昔の常識に囚われてしまってるんだよな??」


オールが痛いところを思ったとおりに言うと、リヒトがしーっっ、と人差し指を口元にかざして黙るように促す。


「昔の文化を絶えさせない、いい風習だとも僕は思うけれど、言い換えればそうなるね。」















オール、リヒト、琉樹の三人が場外でのんびりと観戦している間に、神楽と八剱は激戦を繰り広げていた。


「神楽ァ、お前の甘さでは俺を攻撃できない。

力だけだとしてもお前は刀を振り回せる力と体力はないだろ?でもまぁ、体力以前にお前は勝てない。」


「…っ!」

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