第19夜・交代の決戦【後編】

「いいよ。受けて立とうじゃあないか。

好きなようにしてくれて構わない。所詮紅坂の末裔だ。八剱に敵う訳がない。」


「う"〜〜〜〜!

あんにゃろ、ムカつく!!オール!

オレがアイツぶっ飛ばす!」


不敵な笑みを浮かべて神楽を貶す八剱に向けて、リヒトが子供らしく怒りを露わにする。


「ダメだって。カグラが戦うって決めたんだから。俺らは見守るだけさ。」


______カグラが散々馬鹿にされているのを見て怒ったリヒトは、

優しいんだな。


オールは小さく細い声でそう言ったのだが、やはりリヒトには届かなかった。

頭で理解していても、感情が納得できないリヒトは、拳を握り締める。


「アイツ、カグラが“アカサカ”って家名だからアイツに勝てないって勝手に決めるの、ムカツク!

家系で力を決めるのうぜー!

カグラはカグラなのに!!」


「落ち着けよ、リヒト。

よっぽど“ヤツルギ”って血に自信があるんだろうよ。そんな自信満々な

勘違い野郎にカグラが勝つとこ、みとこーぜ!

それと…

聞けるようなら、あとで“ヤツルギ”と“アカサカ”のお話を聞こーぜ?

な?」


オールがリヒトを宥めるという、なんとも新しく珍しい形になっている。

そしてリヒトは渋々頷き、神楽達を見守り始めた。


「では、現頭領・八剱誠と、挑戦者・紅坂神楽による

【交代の決戦】を始めます。この勝負は、どちらかが意識を失うまでとする。

始め!」


何処から湧いたのか、審判らしき人間が二人から少し離れたところに立っていた。


「リヒト。名前の呼び方、変だったな。

マコト・ヤツルギ だったり、

カグラ・アカサカ じゃなくて、

ヤツルギ・マコト とか、

アカサカ・カグラ だった。…なんでだ??」


「あぁ、騎士団特有の文化らしいぞ。大昔に存在した島国での名前だったり、呼び方らしい。

騎士団では外部の人間に名前、家名の順でするけど、“武士団”となると、家名、名前の順で外部の人間に紹介するらしい。

その島国の文化が色濃く残ってるんだな。」


リヒトがそう説明するも、オールの頭は“はてな”でいっぱいだ。

______意味がわからない


感想は、それだけだった。

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