第13夜・生贄

暫くして、哉汰と呼ばれた少年は一人の少女を連れてきた。6歳前後で、短い髪をおさげにした少女。

「あ!カグラねえさま!!」

少女は神楽を見るなり、ぱぁぁっと可愛らしい笑みを浮かべた。何も知らない、無垢な少女はただ喜ぶだけだが、神楽は違った。

神楽と誠が話していた場所は、幼い少女が立ち入るべきではない、武器などが並べられた戦闘会議場だからだ。

「……小夜!

お、御館様…!どうして、小夜をここに…?そんな、…だって、小夜はまだ小さいのに…!」

そんな神楽の問いに、誠は如何にも“悪役”が似合いそうな笑顔を浮かべた。

「神楽と俺の考えでは、少しずつ違いがある。お前は、この作戦の

集落の者の犠牲の主な原因は暴走した“イラー”だと思っている。

けど俺は、そんな昔に考えられた作戦なんてしない。より新しく、より確実な作戦を考えるさ。」

誠の話を理解しきれず、神楽は顔をしかめた。

「まだわからないか?

俺は集落の人間を【生贄】として捧げようと………

そう言っているんだよ。」

そう知らされた神楽は、言葉を紡ぐ事ができない。小夜と呼ばれた少女は、幼いが故に言葉の意味を理解できずに、神楽の反応に戸惑っている。

「逃げても逃げなくても、この集落の者の大半は生贄行きだ。

仮にお前が俺に領主…、“御館様”の座の交代を申し込んでも

無理だろうな。だって……
















お前は俺に…………

“紅坂”は“八剱”に敵わない」

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