第10夜・八剱神楽
2歳の頃に流行病で母が他界し、7歳で父が戦死するまでは、父が
父が戦死してから、
だからと言って、近所に住む人にお世話になれるほどの余裕も、信頼関係もなく。
気付けば八剱騎士団に入団させられていた。その団長の八剱誠が、
泣いても吐いても、骨が折れても終わらない鍛錬が辛くて、何度死のうと思った事か。
それでも嫌になって抜けださなかったのは、【桃姉様】がいたから。
例の作戦と似たような作戦の犠牲になって、今はいないのだけれど……
桃姉様は八剱騎士団の幹部で、
熱を出していた時も看病してくれたし、(その日も鍛錬はあった)
怪我の手当てもしてもらった。
当時は気が付かなかったし、気付いても特に気に留めなかったけれど、
姉様は、
手当すべきは姉様だったのに。
姉様は『鍛錬でドジしちゃったんだ』とか、『荷物降ろそうと思ったら落ちてきちゃったの、だから大丈夫』って言ってたから、あの頃は大丈夫なんだ、って思ってたけど…
大丈夫じゃなかった。今考えれば、姉様の色んな行動が、今の
その理由もわかる。
あの頃安全だった理由も、
姉様が大丈夫だと言った理由も。
あの時、気が付いていれば。
あの時、気に留めていれば。
きっと姉様は自分から犠牲を買って出ることはなかった。
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