第3夜・サバクウツボ
サバクウツボ
全長30メートル〜80メートル
食性・雑食
砂漠の地下に生息する魔生物。好物は人間で、かなり凶暴である。
「お前、今回の対象のサイズ、知ってんのか?」
荷馬車に乗ってサバクウツボの巣があるとされる場所へ向かう間、二人はその大きさについて話していた。
「んーや、知らねー。」
「聞いて驚け。75メートル前後だとよ。目測らしいけどな。そのくらいだと、やっぱりこれよりもっとでけぇナイフの方がいいかな?」
オールは自分の左の腰に二つ、右の腰に一つ装備されている短剣を見て呟いた。今まで使ったことのないそれは、刃毀れひとつない。
「まぁ、威力を考えればそう思う。
けど…、あんたはその大きさに慣れてるんだろ、オレは変えて得することも、変えずに損することもないと思うんだけど。」
「そう……か、
うん、変える必要はねぇよな。
リヒト、お前は?魔法使えるんだろ?
攻撃範囲っつーか、射程っつーか……」
「射程は物により。けど、オレが得意なのは近距離爆破魔法。
勿論、遠距離追撃魔法も出来るし、捕縛魔法もできるけどな!!」
ふふん、と得意げに胸を張るリヒトは、何を思ったのか、「一つ借りるぜ、」と荷物の中から短剣を取り出し、身に付けた。
「おい、それ俺の剣!」
「そんくらいいーだろっ!大人げねーの!ちょっとくらいかーしーて!…って、おまえ、全部短いの!?」
「うるせーなぁ、これが使いやすいの!!……今回だけだぞ!次はねーからな!!」
オールが少し大人に近付いたおかげで、二人の些細で小規模な戦争は、すぐに閉幕した。
「つーか、お前魔法も剣も使えるのかよ。チートじゃねーか。俺は剣も人並み程度にしか使えねーのに!」
「元は剣しか使えねーよ、馬鹿!色々あって、今は両方なの!それに、どっちかって言うと、剣の方が得意だ。」
「HA~~?………って、もうこんな場所。そろそろ着くぞ。っつーかこの辺っぽい。リヒト、降りて戦闘用意だ。」
「あ、うん。」
オールに少し急かされながら、リヒトが荷馬車から降りた。その瞬間、
数百メートル先の地面が弾けて吹き飛んだ。
それと同時に、おかしくなってしまいそうなほどの轟音が二人の耳を殴った。
「…!?」
「リヒト!大丈夫か!?聞こえるか!」
砂埃でお互いの姿が見えない。オールの声は聞こえるものの、轟音を受けた直後のリヒトには、その位置を特定することはできない。
「お、…オール!何処だよ!?」
自分が声を上げたところで、自分同様、オールも自分の居場所を特定できない。
そんな事を理解していても、オールを呼ばずにはいられない。
「此処だ!絶対にそこから動くなよ!今行くから!」
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