読者への挑戦
【問題】
ある年老いた小説家の男が殺された。その状況はどこからどう見ても他殺だった。散乱した部屋、争ったような形跡、そして下腹部に突き刺さったナイフ。
パートから帰宅した妻によって発見され、すぐに通報を受けて刑事が捜査を開始した。
その中で刑事は重要な証拠品を発見した。それは男の遺書だった。現場である男の自室の机の上に置かれていた。封を切って見ると男の筆跡で遺書が書かれていた。内容としてはごく普通のものであったが、ひとつ不自然な点があった。それは遺書が書かれた日付だ。
遺書の最後に、2021年7月29日と書かれていた。つまり今日である。もしこれが本物の遺書ならば、男は遺書を書いたその日に何者かによって殺害されたことになるわけだ。刑事はそんなことはありえない、と考えこの事件は自殺であると断定した。
ところが、しばらくして刑事はやっぱり他殺だった、と言い直した。
刑事が自殺から他殺だと思い直した根拠は、一体何?
※下にヒントを用意しております。
ヒント①:事件の真実としての他殺か自殺かは関係ない。刑事が他殺だと考え直した根拠を考えよう。
ヒント②:確かに男は殺害され、また遺書も本物である。
【解説】
しばらくして刑事は、机の引き出しからあるものを発見した。それは、大量の遺書だった。
すべて封がされており、それらを開けていくと、それらは一日ごとに書かれていることに気づいた。男は毎日遺書を書いていたのだ。
よって刑事はこれを他殺だと考え直した。
ところで、男が遺書を毎日書いていた理由を妻に聞くと、死ぬ日が分からないのは怖いから、毎日死ぬことを前提にしていた、と話した。
◇◇◇
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