「へとヘの違いは分かるかい？」

「何ですか？」

「へとヘだ」

「いや、同じじゃないですか。何言ってるんですか？」

「前者はひらがな、後者はカタカナだ」

「同じじゃないですか」

「一と―は？」

「あ、それはなんとかわかります。私、いつも明朝体で見るので。漢字の一と、それから……それはなんでしょうか」

「全角のダッシュだ」

「さすがに分かりません」

「では、—と—は？」

「もう本当にどっちも変わりませんって」

「正解は、欧米版の全角ダッシュと、一般的に使われる全角ダッシュでした」

「もうわけが分かりません」

「文字コードで見ればちゃんと区別はされているよ。例えば、さっきのひらがなの『へ』だけど、これはUnicodeの16進数法だと3078だ。カタカナの『ヘ』だと30D8だね」

「そうですか」

「—は2014。―は2015だ」

「どうやって見分けるんですか？」

「文字コードだよ。例えばそうだな。『へぇ、そうなんだ。だから君はヘチマのヘタを取るのがそんなにへたなんだね』という文は、一番目は3078だからひらがな、次は30D8だからこれはカタカナだね。次も同じだ。そして最後がまた3078だからひらがな」

「いや普通に文脈でわかるかと」

「あ、ちなみにさっき言った一番目の一は4E00だから――」

「――もういいわ！　見たらわかるだろうに！」

「いや、そのダッシュは見ても分からないだろう」

　※　※　※　※　※

【解説】

　最後のダッシュはどちらも一般全角ダッシュ。2015です。

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