第3話

壇上の声優さんが、答えて行く。

今日の声優さんは、5人。


まあ、妥当な数だな。


順々に答えて行く。

回答は、似ている。


「がんばりなさい」

「今の仕事についてはだめ」


などなど・・・


僕の推しの声優さんは・・・

「もっと、勉強しなさい」


納得する。

僕もそうだ。


で、最後の方になる。

あの方は・・・

・・・さんか・・・


初めて聞く名だ。


「私は、初恋の人には勇気を出して、想いを告げなさい・・・と、言います」

そういう方もいるな・・・


「私は、小学生時代から、子役として活動していました」

そうなのか・・・知らなかった。

子役と言えば、彼女もそうだったな。


全くの別人だけど。

多分・・・


「私が小学生のころに、とても好きな人がクラスにいました」

そうなのか・・・


「私は、嫌われないように振る舞っていました。嫌われることはありませんでした。

でも、窮屈でした」

そんなものなのか・・・


「でも、ひとりだけ、私を避けている人がいました」

かわいそうに・・・


「あまのじゃくな私は、自分から声をかけるのはしゃくでした。

どうしても、その彼から声をかけさせたい。

なので、意地でも私から声をかけませんでしたが、それがいつしか恋心に変わりました」

そんなものなのか・・・


なんだか、僕の境遇に似てるな。


「なので、今ここで、その彼に想いを伝えます」

どうやって伝えるんだ?

その彼は、ここにはいないだろう。


「好きです。その質問をした、私の小学生時代の初恋の・・・」

えっ?


「天野康雄くん」

えっ?僕・・・


そういうと、その声優さんはかつらを取った。

長髪から、ショートヘアーになる。


そこには、懐かしい顔があった。

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