その五、エイプリルフール
<ツッコミ>
はい。こんにちは。
さあ、今日は、なんの話をするの?
<ボケ>
こんにちは。
今日はね。
エイプリルフールの話をしようと思います。
エイプリルフールに踊るオカルティックなお話をしていこうかと。
<ツッコミ>
ほう。
オカルティックは、よく分からないけども、エイプリルフールか。
なかなか難しいお題だぞ。大丈夫か?
<ボケ>
大丈夫だと思います。
では始めましょう。
さて、エイプリルフールという事で、今日は俺に騙されないようにして下さい。
<ツッコミ>
騙されないように?
俺が、お前に騙されないようにすればいいのか?
面白そうだな。
よかろう。受けて立とう。
<ボケ>
では始めます。
この前、田舎に行ったんですよ。で、トレーラーを見たんです。
<ツッコミ>
トレーラー?
<ボケ>
はい。トレーラーです。
でもね。トレーラーって正式には荷物を積む部分の事を言うんです。
<ツッコミ>
ほう。
俺は、てっきりトレーラーって車があると思ってた。
博学だな。
<ボケ>
無駄な知識は沢山あるので。
<ツッコミ>
お前の場合、本当に全部、無駄だけどな。
いや、むしろ、どんなに役に立つ知識でも、お前が語ると全てが無駄になる。
<ボケ>
で、引っ張る牽引車をトラクターと言います。
そのトラクターがまた凄いんですよ。
<ツッコミ>
どう。凄いの?
<ボケ>
自動車じゃないんですよ。
<ツッコミ>
まさか、チャリンコとか言うんじゃないだろうな?
<ボケ>
違います。
ちなみに三輪車でも大車輪でもありません。
<ツッコミ>
なんだろ?
<ボケ>
犬ぞりだったんです。
<ツッコミ>
まさかの犬ぞりかッ!
<ボケ>
ただ犬じゃなくてね。
ウマなんです。
<ツッコミ>
ウマ?
ああ、少しだけ安心した。
ウマだったら車は馬力とか言ってウマ何頭分の力だからな。
で、何頭くらいいたの、そのウマ達。
<ボケ>
大体、100頭くらいはいましたね。
<ツッコミ>
100馬力か。
まあ、ちょっと心もとないけど、あり得ない話じゃないな。
<ボケ>
ただし、ウマはウマでもUMAですがね。
<ツッコミ>
UMAかッ!
確かにウマとも読めるけども、まさかの未確認生物かいッ!
雪男にネッシー、ビックフット、チュパカプラ、そんなのが100頭もいたのッ!
ある意味、超話題になるぞ。
犬ぞりで重いトレーラーを引いたよりもな。
<ボケ>
もちろんスカイフィッシュ。
<ツッコミ>
そのメンツにスカイフィッシュ、いちゃダメッ!!
スカイフィッシュ、大きさ、数センチだから。
小さすぎてトレーラー引けないから。
てか、スカイフィッシュなんて知ってる人いないから。マニアックすぎるから。
<ボケ>
しかも100頭、全部、スカイフィッシュ。
<ツッコミ>
全部ッ!!
どうやって引くのトレーラー。
スカイフィッシュ、UMAの中でも極小で力ないから。
てか、マニアックなスカイフィッシュから離れろ。
スカイフィッシュを知ってる人、ここにいないから。
でも思ったんだけど……。
犬ぞりって雪の上とかの摩擦が低い場所を走るものじゃないの?
<ボケ>
まあね。
寒いギャグで滑りまくりの摩擦係数ゼロってね。
<ツッコミ>
摩擦係数ゼロっていらん。
いらんって。
てか、これはウソだろ。間違いなくウソだろう?
<ボケ>
うむむ。
どうやら騙されなかったようですね。
まあ、初手は牽制のジャブですから騙されなくて当然ですね。
<ツッコミ>
ふん。
そう簡単には騙されんからな。
<ボケ>
じゃ、次。
この前、親父にプレゼントを贈ったんですよ。
<ツッコミ>
ほう。
お前にしては殊勝だな。
すでにウソくさいぞ。
<ボケ>
しかも絶対に役に立つものを贈りました。
でもね。
おやじが微妙な顔をしててね。
<ツッコミ>
微妙な顔?
<ボケ>
はい。
そのプレゼントっていうのが、棺桶なんです。
<ツッコミ>
それ、贈っちゃいけないやつ。
微妙な顔、当然。
俺、幽体離脱しそうだわ。
<ボケ>
しかもバリューセットで黒曜石の墓石付き。
<ツッコミ>
墓石もかッ!
黒曜石って無駄に豪華。
しかもバリューセットって。
<ボケ>
いえね。
おやじ、株式を総額で5000万円分と土地をたくさん持っててね。
<ツッコミ>
うわぁ、殺す気満々だッ!!
ミステリーか。
都市伝説から離れて、ミステリーでもやる気か?
でも、確かにお前なら、やらかしそうだけども、これもウソだろ?
だってお前のおやじさん、貧乏だしな。
<ボケ>
貧乏、バレてたか。
じゃ、とっとと次にいきます。
<ツッコミ>
ふふふ、どんなのがきても騙されないよ。
<ボケ>
僕、実は、この度、小説家デビューが決まったんですよ。
僕の書いた小説の書籍化が決まったんですよ。
<ツッコミ>
ほう。
初耳だな。
で、どんな小説を書いてデビューするの?
<ボケ>
ディープな恋愛小説ですね。
<ツッコミ>
ほう。有川浩さんが書くような感じの恋愛小説か?
<ボケ>
もっともっとディープです。
なにせ、楔形文字(くさびがたもじ)で書いてありますから。
<ツッコミ>
楔形文字って一般人には読めないから。
解読が必要だから。
考古学者が必要だから。
<ボケ>
僕としては本当のところロンゴロンゴ文字を使って書きたかったんですがね。
さすがの僕でもロンゴロンゴ文字は使えなかったです。
<ツッコミ>
ロンゴロンゴ文字ってイースター島にある解読不能の文字だろうがッ!!
それもマニアックすぎる。
漫才にもな。
てか、ここまできたら小説の題名、死海文書とか言うんじゃないだろうな?
<ボケ>
失敬な。
いくらマニアックな僕でもヴォイニッチ手稿くらいにとどめておきますよ。
<ツッコミ>
ヴォイニッチ手稿なんて知ってる人いないから。
都市伝説好きな人でも、ほぼ知らないから。
大体、お前もヴォイニッチ手稿って言う前にスマホいじって調べて確認したろうが。
それくらいマニアック。
<ツッコミ>
しかもエニグマを使って暗号化もバッチリです。
<ツッコミ>
またマニアックな所きたッ!!
エニグマって第2次世界大戦時にドイツ軍が使ってた暗号機だろッ!!
余計に読めないから。
<ボケ>
そんな僕も、今度、書籍化で小説家デビュー。
<ツッコミ>
大体、そんなのどんなに名作でも出版社の編集さんが読めんわ。
はい、ウソ、決定。
<ボケ>
うむむ。
やっぱりダメか。じゃ、とっておきのいきます。
<ツッコミ>
……もう、どんなのがきても騙されんよ。
大体、騙されないで下さいとタネをばらしてから騙されるやつなんていないよ。
<ボケ>
真理ですな。
でも君は騙されるんです。
<ツッコミ>
その発言、どっかの探偵か怪盗か。
じゃ、言ってみ。そのとっておきのってやつ。
<ボケ>
この前ね。
彼女が僕に言ったんです。
<ツッコミ>
ほう。なにを?
<ボケ>
上目遣いで目をうるうるさせてね。
好きだよって。
<ツッコミ>
ズッキューン。
<ボケ>
それでね。
手を握って肩に頭を乗せてくるんです。
そして、また言うんです。
世界で一番愛してるって。
<ツッコミ>
なんか、俺、ドキドキしてきたわ。
なんだろ、この気持。
<ボケ>
で、目を閉じてね。
また言うんです。
<ツッコミ>
ほう。なにを?
<ボケ>
世界中があなたの敵になっても、あたしだけはあなたの味方よってね。
そしてにっこりと微笑んで続けるんです。
だから……、絶対にずっとずっと離れないでいてねって。
<ツッコミ>
うわぁ、可愛いな。
本当に可愛いな。
<ボケ>
で、頬を染めてね。
おねだりするんです。キスしてって。
<ツッコミ>
可愛すぎる。
可愛すぎて騙されてまう。
<ボケ>
でしょ。
騙されるでしょ。そのオカルティックな可愛さに。
<ツッコミ>
うん。
騙された。間違いなく騙された。
ただ、それでいいんじゃないの。そこは騙されておこうよ。俺はそう思うぞ。
でもオカルティックってなに?
<ボケ>
その子、雪男のメスなんです。
ウホホって。
ドラミング。
<ツッコミ>
雪男のメス。
それは、すなわち雪女かッ!!
騙された。色んな意味、騙されたわ。凍死させられるほどに騙された。
もう、いいわ。
ありがとうございました。
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