前提としてこの作品は全体的に暗く、心を抉る、救いの少ない苛烈なダークファンタジーである。主人公を慕っていた女の子達が、ある出来事をきっかけに脳破壊(としか思えない人格崩壊)され、これまで慕っていた主人公を貶め、痛めつけ、心を折りにかかる。主人公はその溜まったヘイトを過たずに女の子へ叩きつける。誤字や矛盾は少なく、物語の骨子も復讐で一本筋が通っているので、復讐をテーマにした作品を読みたい人には希望通りの良作となる。
この作品の主人公は復讐に燃えてはいるものの、理不尽と汚さを隠そうとしない世界の中でも比較的真っ直ぐに生きようとしており、読者に対して不快感をそれほど与えない。
ただ、復讐相手とはいえ女性にも容赦なく拳を振り抜くので、ある意味上級者向け作品かもしれない。
そこさえクリアできるならおすすめできる作品だが、作者の過去作品であるエンドフォースを読んだことのある方ならわかると思うが、ストレス章がとても長く、苛烈で、それに比べて救いは少ない。爽快感よりも復讐の虚しさや、復讐後の暗い喜びのほうが濃く感じる味付けなので、気持ちに余裕がある時に読むほうが楽しめるかもしれない。