彼女はそれを退屈と呼ぶ
@Niboshi_
第1話 エピローグ
ピピピ…ピピピ…ピピ、カチッ
「ん〜…」
ピピピ…ピピ、カチッ
「お…おにい…お兄ちゃん!」
「ん、ん〜…おはよう、叶」
「ごはんできてるから早く降りて来てね!」
「りょぅかい」
俺は身体を起こしそう言った。
叶が降りていった後、ゆっくり後を追った。
洗面所にいき、顔を洗い、食卓に向かった。
そこには、朝食を食べてる叶と、両親がいた。
「おはよう」
「おはよう晶」
母はそう返してくれた。が、父は黙り込んでいる。昨日の事が関係しているのだろう。
「お兄ちゃん早く食べなよ」
「お、おう…」
叶に言われるがままに席に着き、朝食のパンに手を向けた。
昨日の事とは、父と進路について口論したことだ。父は、大学に進んで欲しいらしいが、俺にはやりたい事があった。それでこの有様だ。
(俺の話もろくに聞かないで…)
そう思っていると、
気づいたら父は玄関に向かっていた。
靴を履き、扉を開けると同時に
「いってきます。」
と言った。すると母が
「行ってらっしゃい、あなた」
その言葉を背にして父は仕事に向かった。
その光景をパンを貪りながら見ていると
「お兄ちゃん!時間!」
そう言われ時計を見ると、6時20分を指していた。
「まだ、時間あるじゃん」
「ここの時計壊れてるよ?」
「えっ?」
そう言って叶は、スマホの時間を見してくれた。7時40分を示していた。
「もっと早く言えよ!」
「何回も言ったよ!」
どうやら、父とのことを考えていた時に言われてたらしい…
急いでパンを口に詰め込んで、自分の部屋に向かった。すぐ制服に着替え、鞄を持ち、階段を駆け下り洗面所に向かった。
(やばいやばい)
そう思いながら歯を磨いた。
「お兄ちゃん!早くー!」
そう言われた時には、口をゆすぎ、口周りの水気をタオルで拭いるときに
(叶はいいよな…秋休みがあって)
妹の中学校は何故か秋休みがあるらしい。
「はい、お弁当」
洗面所から出ようとすると、母がお弁当を渡してきた。
「ありがと!」
そう言って、お弁当を受け取り玄関に向かった。
「叶!今何時だ?」
「7時56分!」
「行ってきます!」
母と叶が
「行ってらっしゃい」
「行ってら〜」
と言った時には玄関の扉は閉まりかけていた。
「はっ、はっ、はっ」
走って駅に向かい、5分くらいで何とか着いた。すると
「おっ、晶!」
と、聞き覚えがある声がした。
「おはよう、勤」
「おう!」
こいつは、同じ高校に通うクラスメイトの立花 勤だ。
「まもなく電車が参ります。ご注意ください。」
アナウンスが聞こえてきたので、急いで改札口へ向かった。
ピピッ、ピピッ
ICカードをタッチし、駅の構内に入って行った。そこには、もう電車は止まっており、扉は開いたので、改札口の近くの扉に向かって飛び乗った。
(ふぅ、何とか間に合った…)
「ふぅ、何とか間に合ったなー!」
俺が思っていることを、勤は声に出して言った。
「2人ともおはよう」
声がする方を見るとそこには、三崎 優里先輩が立っていた。
「三崎先輩!おはようございます!」
俺と勤が同時に言った。
先輩は
「2人とも仲良いね」
と、クスクス笑い言った。
「あはは…」
俺は苦笑いした。
そして勤は
「俺と晶の仲なので!」
と、言った。
(日本語が変なような…)
俺はそう思ったが特に気にはしなかった。
「まもなく、秋野町〜、秋野町です」
このアナウンスが流れ、降りる準備をした。
そして、電車を降りるとうちの高校の生徒が大勢降りて来ていた。
大混雑の中、何とか改札口へ向かい、駅の外に出れた。
2人を探そうとした時
「あっ!晶!」
少し驚いたが
「よっ!絵里!」
こいつは、幼なじみでクラスメイトの浅川 絵里である。
そこに、勤と三崎先輩が合流し、4人で学校に向かった。
この時、誰も知らなかったこの秋野高校で起こる出来事を…
彼女はそれを退屈と呼ぶ @Niboshi_
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