第6話 ぬいぐるみ
これは6年前の出来事です。
僕は当時18歳で、付き合っている女の子、A子がいました。
彼女はかわいいものが好きでよくぬいぐるみを買い集めていたのです。
その日もデート中、
A子はリサイクルショップの前に出されていたクマのぬいぐるみに一目惚れしたようでどうしてもそれが欲しいと言い出しました
正直僕は中古で人形を買う、というのが嫌なタイプで
誰が持っていたものかも分からない物は怖い。とA子に伝えたのですが、A子は中古も新品も変わらないと結局そのクマのぬいぐるみを購入したのです。
すごくそれを気に入ったようでその日はずっと上機嫌だったのですが
その翌日からA子は連絡が一切取れなくなったのです。
毎日連絡をしていたのでさすがにおかしいと思い、A子の実家に行くとA子のお母さんが出てきました。
「あの、、A子さんとお付き合いをしている斎藤と言います。
A子さんはいらっしゃいますでしょうか…?」
僕がそう言うと少し困ったような、悲しいような表情をした後ゆっくりと話し始めました。
「A子は部屋にいます。だけど突然おかしくなっちゃってね、会える状態ではないと思いますよ。
なんでか分からないけど何かに怯えてて…食事もしない。
夜中に叫びだしたり…。病院にも連れて行ったけど原因も分からなくて」
静かに話す姿に恐怖心もありつつ僕はその時なぜか「あのぬいぐるみ」が原因じゃないかと思ったのです。
理由は分かりません、ただ何となくそれだと思いました。
そこで僕はA子さんに会わせてほしいと何度もお願いし
お母さんは渋々OKしてくれて僕が部屋に直行するとA子は部屋の隅で何かに怯えていました。
僕「A子…?」
僕がそう言うと怯えていたA子が突然暴れだし僕にカッターなどを投げつけてきたのです
その音を聞いたA子のお母さんが部屋に駆け付けどうにか二人で押さえつけて落ち着かせました。
ですがその時、正直僕はA子ではなくA子の机の上にあったあのぬいぐるみが血だらけで真っ赤になっていたことが気になっていました
直感で「あ、もうだめだ。」
そう思いました
僕はそのぬいぐるみを取り家から逃げるように近くのお寺に向かいました
どうしたらいいのか分かりもせず、ただ持ってきてしまったのです
そして入り口に着いた瞬間、ぬいぐるみを持っていた右手に激痛がはしりパッとぬいぐるみに目をやるとクマの口はまるで人間のような口になり口が裂けた状態で笑っていたのです
僕はあまりの恐怖に気を失ってしまい気がついたら病院にいました
お寺の方が僕を発見し救急車を呼んだそうです
そして後から話を聞いたところ、
あのぬいぐるみには強い生霊が憑りついていて持ち主を殺せるほどの力があると言われました。
お寺の方が有名な神社に持っていってくれたそうで今でも保管されているという話です。
あれからA子は精神的に病んでしまい、現在も入退院を繰り返しています。
僕はあれ以来どんな物でも中古で購入するのが怖いです
みなさんも中古品には気を付けてください。
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