第5話 かくれんぼ


これは3年前の出来事です。


うちの家はアパートで下には駐車場があり、そこの奥に子供が二人ほど入れるスペースがありました。


なんの為に作られたのか分からないのですが、そこはよくゴミが投げ捨てられていて汚く、誰も近寄らなかったのです。



そんなある日のこと、私は夕方買い物に行くために家を出ました。


時間は18時頃で外は少し暗い程度。



すぐに買い物を終えた私が家の下に着くと奥に女の子が隠れているのが見えたのです。


あのスペースに一人、体育座りをしてうつむいていました。



一瞬ドキッとしたのですがハッキリ見えていたので幽霊ではないだろうと思い私はその子に話しかけました




「どうしたの?」




私がそう言うとその子が顔をあげ私の顔を見ながら


「かくれんぼしてるの」と言ったのです。




ですが私はその瞬間、一気に血の気が引きました。



その子の顔は真っ青で何故かものすごい笑みでこちらをじっと見つめていたからです。



その目は生きている人とは思えませんでした



焦った私が家までの階段を駆け上がろうとするとその女の子は階段に座りこちらを見ていたのです。



たった今下の駐車場で座っていた女の子がこんなに早く階段まで移動できるはずありません。


あまりの恐怖に私は家に戻ることが出来ず結局家族が帰宅するのを待ち、家に戻りました。


私が家に戻った21時頃には女の子の姿もなく、それ以来その子の姿は見ていません。



あの子の笑みは今も目を閉じると脳裏に浮かんできます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る