第6話 人生の巣(1)
キッパータックの
ピッポは感心していた──女心というものに、である。ここへ来た者の態度としては、その他の絶景に触れたときもそうだが、とにかく携帯電子端末で
(このまま本当に彫像となることさえ彼女は望むんじゃないだろうか……)と、ピッポは勝手に空想していた。永遠に砂の滝を見つめ続ける
キッパータックは女性の感性になどさらさら興味はなかった。「びっくりした?」とその横顔に平凡な問いを投げた。
「はい……」とまだ息を飲んでいる最中のサラ。「滝は、空中から落ちてきているように見えるんですが、その……空中のどこに砂があるんでしょうか?」
ピッポも腕組みして考える。「大気中の
「砂漠の砂が!」サラが引き継ぐように発した。「どこかの砂漠の砂が、時空のひずみにごっそり呑み込まれてしまって、行き場をなくしてさまよったあげく、ようやく見つけた出口がここだった――ということは?」
「は?」とキッパータックは言った。
ははっ、とピッポは笑った。「スレイプニルが
どんな
「キッパータックさん。私、この問題について、現実的なアプローチを思いつきました」
「え?」
「あなたのお友達、そしてミイラ男さんの家族でもあるレイノルドさんに、あの源まで飛んでいってもらって、どうなっているか見てもらうんですよ。どうです?」
「レイノルドに?」キッパータックはサラサラ落ちる砂を見上げた。「ああ、でも、ここの以前の
「そんな表現じゃ、本当になんにも解決しませんね」サラは肩をすくめた。
日差しが強いので、三人は滝のそばの木陰に移動した。二人には木のベンチに座ってもらい、
ピッポが
「上へ行って見てくるだけなら、レイノルドに頼まなくてもできるよ」とキッパータックが言った。
「あなたも無人航空機のあてがあるんですか?」とサラ。
「
「蜘蛛に?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます