第49話 ラジオ、スルメイカ、世界遺産

 安居酒屋で二人、飲み明かすことにした。

 テレビの代わりに掛かっているラジオは不景気なニュースと昔の歌ばかり。

 久々にスルメイカの刺し身が手に入ったと言うので頼んだ。

 世界遺産をめぐる旅行宣伝のポスターは色あせて文字の輪郭しか見えない。

 

 何もかも、昔のままであればよかったのに。

 若さも、活力も、夢も、世間の景気も、あれも、これも。

 過去の奇麗なところだけが生き残ればよかったものを。

 現実は逆で、過去の悪いところはしっかり引き継ぎ、新しい問題ばかりやってくる。

 

 そんな話ばかりした。

 そんな連中にはなるまいと思っていたのに、こんな連中になってしまった。

 残念に思う。

 だがこれからどうしたものだろう。

 直しようもなく、ただ時は過ぎ行くのみ。

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