70(1,242歳)「0歳0ヵ月から始めるストーカー生活」
夜。
パパンとママンと乳母さんが寝静まったのを【探査】で確認。
0歳0ヵ月なので寝返りすらできないけど、魔法だったらお手の物。
赤ちゃんなので視界が悪い? んなもん常時【探査】で目の代わりにすればいい。従魔に視界ジャックしてる時と同じだ。
ってことでコッソリ窓から出て、砦の上空へ。
風系統の【飛翔】が使えないので、【時空間】魔法の【テレキネシス】で自分の体を持ち上げる。物を動かすよりもコツはいるが、なぁに【魔力操作】
そんで魔の森のちょっと入ったところまで『【瞬間移動】移動』でぶっ飛ばし、100メートル四方の小さな【
で、領域の中央に降り立って、領域と同じサイズの【物理防護結界】と【魔法防護結界】を展開。気づいて近づいてきたゴブリンやオーク上位種は【アイテムボックス】へポイポイポイ。
……あ、そいえば、
目録を調べてみると、生きたまま収納した魔物は消えてた。辺境伯たちと同じ扱いってわけだね。アラクネさん量産とかできたらすごかったのに……。
じゃ、今捕らえたこいつらは【アイテムボックス】内で首ちょんぱしちゃおう。
で、工作開始!
まずは【アイテムボックス】から2つのお人形を取り出す。二足歩行のネコちゃんとウサギさん。ホーリィさんからの神魔法講座の時、チクチクと作ったんだよね。
名前どうしよう? 簡易AIボットちゃんとはいえ一応私が生み出す命なので、ネコちゃんが私に続く1番目ということで『アインス』ちゃん、ウサギさんが続く2番目で『ツヴァイ』ちゃんにしよう。
私に続くなら2番目、3番目じゃないのかって? スタートが0からじゃないと落ち着かないんだよ……。あとドイツ語で0のことを『null』っていうのも物凄くもやる。nullは0でもブランクでもなくnullでしょ!? 千数百年経っても抜けないプログラマ気質よ。
で、2つの【魔法防護結界】の中に神級光魔法【生命創造】で魂を作り、目に【霊視】を、両手に【霊手】をまとわせて、まずはアインスちゃん用の魂を掴み、【魔法防護結界】を解除して即座に人形のへそ辺りに魂を突っ込む。うかうかしてると手の間からすり抜けて昇天しちゃうから。
ちなみに一連の動作は体を【テレキネシス】で無理やり動かしてる。セルフ操り人形だ。
ツヴァイちゃんの魂も同様に実装。
続いて、私の【テレキネシス】で歩かせる。これでAIボットちゃんは『【テレキネシス】で歩く』という発想を得る。基本的には私の劣化版程度の知識と知能を持っているから、【テレキネシス】は無詠唱可能。ほどなくしてふたりは自力で歩きだす。
続いて、時空魔法【
◇ ◆ ◇ ◆
内部時間で5時間ほど鍛えたところで、私の限界が来た……空腹の。
だって水は飲めても肉は食べれないんだもの!
『じゃあふたりはここで特訓継続!』
『『イエス・マイ・マスター!』』
◇ ◆ ◇ ◆
夜が明けて乳母さんがお乳をくれるまでの時間は長かった……。
第3の人生、まさかの初日で餓死するところだったよ。
◇ ◆ ◇ ◆
お食事のあと、乳母さんの目を盗んで【
そこには、5時間ほど放置され、無敵の神兵へと育ったふたりがいた。
そりゃ私と同等の魔法その他の知識(異世界知識チート含む)を持ち、内部時間にして208年もの訓練期間があったんだもの。しかも眠る必要もないから、実質私が最初に養殖してレベル600になった時と同じくらい成長しててもおかしくない。
ふたりは魔物のタンパク質から糸や布を作り、自分たちの体を補修しているところだった。まぁ【瞬間移動】を覚え、【
「「お帰りなさいませ、マイ・マスター!」」
おおっ、【風魔法】で疑似音声作ってるよ。
『よくがんばってるみたいだね。えらいえらい!』
生まれたての生命にいきなり200年以上も訓練させるなって?
いやぁ、私が自分にも他人にもスパルタなのは、今に始まったことじゃないし。
【瞬間移動】、【飛翔】、大容量【アイテムボックス】、広範囲【探査】、聖級時空・光混合魔法【光学迷彩】、高レベル【隠密】を覚えたふたりを【
どこへって?
そりゃもちろん、愛すべきフェッテン様8ちゃいと、憎き辺境伯の元へさ!
◇ ◆ ◇ ◆
というわけで、自分はパパンとママンと乳母さんに可愛がってもらいつつ、透明になって対象をストーキングしているアインスとツヴァイからの報告を『意思疎通』で受ける日々。
せっかくセーブ枠が増えたので、1日1回、セーブ枠を使うことにした。もちろん誕生直後のデータは残しつつ。最大で9日前まで戻れるってわけだね。
この枠は、何かの転機があればその時に、なければ5年とか10年の節目ごとにバックアップとして使うことにしよう。
ってなことを考えてた矢先。ツヴァイを派遣してから3日目の夜のこと。
ツヴァイから緊急通報! 慌てて『視界共有』すると、
『第二王子が邪魔だ』
辺境伯の寝室に、なんか魔族っぽい女が来てるー!!
ちなみに会話内容は、ツヴァイが聞いた内容を『意思疎通』で伝えてくれる。
いやぁ、まさかこんな簡単に尻尾が掴めるとは!
女の話を要約すると、
『武闘派の第二王子が邪魔だから、栄養学チートを悪用して「脚気」にさせちまえ。辺境伯はその手配よろしく。
あぁん? 【契約】の効果で死んじまう? だったらあたしの
王国滅亡後もロンダキルア辺境伯領都は残して城伯にしてやるよ』
なるほど、辺境伯が従士の引き抜きを嫌がるはずだよ。
しかし魔族か。なんか共犯者といいつつ辺境伯の立場低そう……いや、相手は基本的にみんなMPオバケな魔族だもの。逆らえば消し炭か。
うーん……辺境伯、情状酌量の余地あり?
とりま、あの魔族にロード前提で『対戦よろしくお願いします』だ。ちょうどパパンもママンも乳母さんも部屋にはいない。
自分の周囲に【
◇ ◆ ◇ ◆
外部時間にして1秒未満で辺境伯邸に到達。
辺境伯邸上空で【
からのぉ、寝室へ
「「――なっ!?」」
突如目の前に赤ん坊が現れたことにビビるおふたり。
どうせ【ロード】前提だ。まずはアレをしかけよう。
魔族が素早く復活し、私に向けて手をかざす。
【アイテムボックス】!
魔族が【アイアンニードル】を放ってきたが、それはあらかじめ張っていた私の【魔法防護結界】に阻まれる。
そして女を収納しようとしている私の【アイテムボックス】は、魔族が展開した【魔法防護結界】に阻まれている。【アイテムボックス】へ魔力をぎゅるぎゅる注ぎ込むと魔族の【魔法防護結界】にヒビが入り、次の瞬間、女の姿が消えた――【瞬間移動】で逃げられた。
もっかい行ってみよー。
◇ ◆ ◇ ◆
奥義! 【屋敷ごとアイテムボックス】!!
「――なっ!?」
うぉっ、魔族の女だけ更地に残ってる! ってヤバい気づかれ――
――ヒュッ!
【アイアンニードル】に右腕持ってかれた!
痛いっての【パーフェクト・ヒ
◇ ◆ ◇ ◆
……おぎゃあっ、おぎゃあっ……
HPが足りない!!
くそっ、前世の私なら【パーフェクト・ヒール】で手足生やしながら戦えたのに!
あの魔族も腕を狙ったってことは生け捕りを考えてたんだろうに、よもや私のHPが4しかないとは思わなかったんだろうなぁ……。
え、先日まで3じゃなかったかって? 昨日、ベビーベッドの柵に足の小指をぶつけたんだよ。
あと今ので10にまで増えたよ。死亡時のMP上昇だけでなく、HP上昇も引き継ぐんだねぇ。
◇ ◆ ◇ ◆
ってことで千回ほど戦ってみたけど、生け捕りどころか勝てるビジョンすら見えなかった。
とにかく結界が強すぎる。【極大落雷】魔法も弾かれた。で、【瞬間移動】で逃げられる。はぐれ○タルかお前は!
……ま、どうせ赤子の状態ではパパンにせよ辺境伯にせよ話を聞いてもらったり信じてもらうのは不可能なわけで、前世と同じく4歳(実質3歳)までは大人しくストーカーを続けておきますか。
あ、ちなみに【鑑定】は通ったよ。ステータスはこんな感じだった。
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【名前】 ベルゼネ・ド・ラ・ベルゼビュート
【年齢】 162歳
【職業】 魔王国四天王
【称号】
【契約】 (鑑定不能)
【LV】 142
【HP】 9,412/9,412
【MP】 13,412,734/18,342,817
【力】 1,193
【魔法力】 2,001,281
【体力】 926
【精神力】 1,341
【素早さ】 1,114
【戦闘系スキル】
体術LV1 闘気LV1 威圧LV5 隠密LV3
【魔法系スキル】
魔力感知LV10 魔力操作LV6
土魔法LV10 水魔法LV4 火魔法LV4 風魔法LV4
光魔法LV4 闇魔法LV4 時空魔法LV10
鑑定LV8
【耐性系スキル】
威圧耐性LV1 苦痛耐性LV1 精神耐性LV1
睡眠耐性LV2
【生活系スキル】
ルキフェル王国語LV5 アフレガルド王国語LV4
算術LV5 礼儀作法LV6 交渉LV9
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四天王とかいるのかよ! 胸が熱いな!
あとMPと魔法力はかなりのもの!
MPなんて前世の私の10分の1くらいあるし。
時空魔法はまさかの
鑑定も私と同等の8。鑑定しまくってMP養殖したのかも。
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追記回数:15,182回 通算年数:1,242年 レベル:1(2,127)
次回、突然のおねショタ回!!
フェッテン第二王子殿下8ちゃいの前に現れた謎の女性の正体とは!?
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