第4話 天才幼女の事情
休日の事である。
予定も無くスーパーのWバーガーでポテトのLを食べることにした。そうそう、この塩辛いポテトが止められない。うん?あれに見えるはナタリーである。
「おーい、ナタリー」
普通に声をかけてしまった。
「なんだ、実星ではないか」
ナタリーはウサギのぬいぐるみを手にしていた。わたしは直感的に失敗したことに気づく。
あのぬいぐるみは爆弾だ……。わたしが逃げ腰になっていると。
「何故、爆弾と気づいた?」
ナタリーが問うてくる。ツーっと言う時計音に火薬の臭いは完全に爆弾である。
さて、ポテトも食べたし帰るか……。
帰り支度を始めると。
何故、爆弾を持っているナタリーを放置するかと言うと。ナタリーのトラップだと思うからだ。ぬいぐるみに入っているのはただの時計で火薬臭はバクチクでも分解して振り撒いたのであろう。
わたしの一瞬にして態度の変化にナタリーは泣きそうである。ふ、勝った。
だいたい、このスーパーで偶然会う事がおかしい。仕組まれた爆弾騒動である。
この天才幼女のナタリーは孤独である。典型的な問題行動である。
ポテトのL一緒に食べるか?
「うん、ありとう」
カウンターでポテトのLを注文すると。二人で食べ始める。
「あー塩辛い」
「うん、塩辛いね」
しかし、なんじゃこりゃの休日である。
今日は雨である。体育館が修理中の為に体育の授業が中止である。レポート一枚で授業は免除なので、わたしは体育教官室で暇をつぶす。コンコン、ノック音が聞こえてきた。扉を開けると台湾からの留学生が二人でいた。
「ここに、英語に詳しい先生が居ると聞いてきました」
英語に詳しい?ナタリーのことかな?
「ナタリー、出番だぞ」
体育教官室の奥の方でポッキーを食べていた。
「うん?面倒くさいな……」
普通に英語でナタリーと留学生が話を始めると。
「この学校の近くの商店街にザルそばが食べられたな?」
「はい?はい……」
一瞬、聞き直したが日本文化の勉強の為にザルそばが食べたいらしい。
「ナタリーが出前を取っている店で食べられたかと」
「あ、あのアジフライ定食が美味い店か……」
ナタリーが小首を傾げて少し考え込むと。
「今日、わたしがおごってやろう」
歓喜する二人であった。幼女先生におごってもらって嬉しいのか?MITに人脈でも作りたいのか?
ちなみに、MITとはマサチューセッツ工科大学の事である。ナタリーの専攻はスポーツ科学かな?ま、あまり興味がない話である。
しかし、あの店のザルそばは食べてみたい。適当に理由を付けてついていく事にした。昼時になると四人で和食店に行きザルそばを注文する。
ずる、ずる……。
うん、美味い。
その後の会計でナタリーはわたしにおごってくれなかった。
わたしは末代までの呪いの仕方を携帯で検索するのであった。
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