第3話 スクールライフ

 放課後、わたしが体育教官室に行く準備をしていると。クラスメイトの『宮朝 咲』がダンボールをかぶっていた。


???


ダンボールにはメカニカルな目鼻口が付いている。


「ロボ子だ!ロボ子が現れたぞ」


 後ろから妙なヤジが飛ぶ。


「人類め!サルとして飼ってやろうか?」


 なんだ?この痛いキャラは……。


 ドン!!!


 教室の扉が開きナタリーが現れる。


「悪のロボ子め、正義の鉄槌をくらえ」


 ……、……。双方固まっている。


「こ奴、できる……」

ナタリーが呟くがロボ子は隙をみせない。

「わたしはカンフーを三ヶ月修行したぞ」


 三ヶ月ね……。これはナタリーの負けか。


「ひひひ~い。ごめんなさい、ごめんなさい」


 ロボ子が謝り、勝負はついた。


 「ロボ子が壊れたらメルトダウンとかして危なかった」


 何か納得するナタリーであった。


「ホントにウランとか漏れるの?」


 わたしがロボ子に聞くと。


 「エネルギー源はドラ〇もんと同じよ」


 何だ、知っている様で誰も知らないマメ知識は。それからロボ子はカーテンに隠れるとダンボールを取るのであった。


 『宮朝 咲』の姿に戻り何も無かったように椅子に座る。


「これウラン鉱石ね、これで元気になるといい」


ナタリーは石を渡して去っていく。


「これ危ないかな……?」

「さぁ?」


 ナタリーから渡されたウラン鉱石の処分に困るのであった。


 わたしが体育教官室の中を掃いていると三島先生が入ってくる。しかし、いい筋肉してるなー。女子は男子のケツに惚れると言うが太ももからふくらはぎが目立つな。


 キュン。


 何だ、気持ちは……。試しにナタリーに視線を移してみよう。あー幼女先生だ。わたしは残念な気分になる。再び、三島先生に視線を戻すと。


 キュン、キュン……。


 き、き、禁断の恋の予感だ!!!


 ×××を〇〇〇て△△のを××と。


 う……、鼻血が出た。妄想がエロ過ぎる。ふ、しょせんは禁断の恋だ。今の時代は生徒に手を出したらクビで、下手をしたらニュース沙汰だ。体育教官室の掃除を終えて駐輪場に向かうと。わたしより身長の低い男子が声をかけてくる。


 あ~告白か……。時々あるが全部断っている。


 ×××を〇〇〇したくないのである。


 あぁ神様はなんて残酷なの。こんなエロいわたしに救いの手を……。


 う……。三島先生の筋肉を思い出した。


 グヘへへへ……。


 禁断の恋が欲しいな。体は正直であるがどうしようもないのである。さて、コンビニでプリンでも買って帰るか。


 わたしの受け持つ1年の女子の授業終わりのことである。授業中に生徒に腕立て伏せを指導したら、先ずお手本をと言われて一回も出来なくて撃沈であった。あの、数十人からの冷たい視線は、思い出しても辛い記憶である。体育教官室に戻ると三島先生に相談するか迷っていたら。


「あ、実星くん、授業で辛いことが有ったのだって」


 別に興味の無い先生に話しかけられる。


「は、はい……」

「体育教師は他の分野がサッパリな人も多いから、大丈夫だよ」


 それは理解できたがわたしに向けられた白い視線は消せない記憶である。要は腕立て伏せの一つも出来なかった事である。


 そもそも、何故わたしが体育教師になっているのだ?詳しい理由を聞くと『年頃の女子は扱い難いので同年代なら』と返ってきた。あー今の時代は目線だけでもセクハラになるらしい。特に一年は環境に慣れていないから、更に難しいようだ。


 しかし、それでもわたしの負担が大きい。扱いは外部講師で正規の体育教師の補佐である。


 ちなみにナタリーも同じ扱いである。勿論、給料は全然違う。ふ~う、愚痴を言っても仕方がない。帰り支度をしていると、三島先生が現れる。


 キュン……!


 あーイカン完全に恋だ。叶わぬ想いも辛いものだ。試しに……。


「三島先生、一緒に帰ろうか?」

「ゴメン、残業があるのだよ」


 残業か、大人の答えだ。少し、様子を見ていると本当に残業があるらしい。

わたしは渋々、自宅に帰るのであった。


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