第7話アルトネリコの泉
七、 アルトネリコの泉
その後の展開を、待ち遠しく思ってながらも、DEATH GODの指導と、手配書の遂行を全うしながら、その時を待っていた。
そして、漸くヨハネスと話が出来る機会を得た。
「いやあ、遅くなって申し訳なかったな。色々あってな、最後のご奉公じゃ。ん?その顔は?そうか、ついに君にも来たのか?」
「はい…本当に来たのかは分かりませんが、全ての条件クリアにはなりました。」
「ほうそれは良かった、良かった、それは何よりだ」
「それでもまだはっきりとしない事があったものですから、それをお聞きしようと思いまして」
「聞きたい事とは、どんな事じゃな?」
「先日手配書の中に、これで全ての条件クリアとありました。この全ての条件クリアとは何を指していたのでしょうか?」
「それはな、まず、己が犯した罪の償いをする事。それがDEATH GODになって極悪人を多く見付けるという事じゃ。二つ目は、お前が罪を犯し、DEATH GODの契約をした時に、DEATH GODはお前を見付けることはせずに、またその罪に関してはどうだったな?」
「罪については、何も咎められませんでした」
「つまり、人間というものは、自分のしたことに関しては、僅かな罪悪感しか持たないものなんだ。全ての人間ではないがの。そして、他人のしたことに対しては、必要以上に責め立てるという動物なんじゃ。それが人間だ。
DEATH GODになった者たちは、自分のした事を悔いてはいる、悔いてはいるが、その罪は償わなくてはならない。それが、極悪人を捕まえるという事。そして、人としての優しさもなければならん、これが、他人を許すという事じゃ。この二つがなって、初めて元に戻る資格が出来るというわけじゃ。これでよいかな?」
(元に戻る、その言葉がまた謎のように思えていた)
「それと、オーチャリもまた多くの者が、消えると言っていましたが、本当に消えてしまうんですか?消えずに何処かに行くのではないかと思っているんですが?」
「そうじゃ、本当に消えてしまったのではやるせないからのう。勿論消えはしない。それは安心して良い。周りからはそうみえるだけじゃ」
「それでは何処に行くのですか?」
「それはな、アルトネリコの泉だ」
「アルトネリコの泉?」
「そう、アルトネリコの泉じゃ。お前のヴィーも、もうすぐ0になるだろう、その時、お前の姿は見えなくなり、アルトネリコの泉の所に行くことになるのじゃ。
そして、妖精フィネスに逢えば良い。そうすれば、後はどうすれば良いか、きちんと説明してくれよう」
もつれていた糸が、するするとほどけていくように、無明とも思えた今が、光り輝く今に変わっていた。
その後も、ブルーノはDEATH GODの指導と、見付ける事のない手配書の遂行に励んでいた。
ヴィーの針が0になるのを待ちながら、ある一つの言葉を考えていた。その言葉は、先日のヨハネスとの話の中で出た、元に戻るというものだった。元に戻る、それは時間なのか、状態なのか、場所なのか、気になる事の一つだったが、いずれ分かる時が来るだろうと思えるようになっていた。
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