毒牙の抜けた狩人たち
う~ん、疲れた疲れた。みんなもう集合しているかな。
「ただいま~」
「帰ったか。うん、ルーアは一緒じゃないのか?」
わたしを最初に出迎えたのはナッキングさんだった。
「え!?ナッキングさん!ルーアがどうしたって!?」
いきなりだったからつい声が上ずる。それにしてもナッキングさんがルーアのことを口にするなんて、彼女に何かあったのだろうか。それとも二人に。やだ!?何考えてんだろ、落ち着かなきゃ。
わたしが何度も深呼吸を繰り返すのを見てナッキングさんが訝しむ。
「おい、どうしたんだいきなり。なにかルーアにあったのか?」
「え?何かってなに?ルーアがどうかしたの?」
「その様子じゃお前も知らないようだな。すまん、気にしないでくれ」
どうしたんだろ、ルーアになにかあったんだろうか。
わたしは急に不安に駆られて入ってきた入り口から再び外に出ようとしたとき、バタンと乱暴に開かれた扉の先からオルフェとウーバが入ってきた。といってもテンションがやけに高いオルフェに対して、首を脇に抱えられる形で引っ張られているウーバはいつも通り「やめろよ姉ちゃん!?」と繰り返している。ども心なしかその言葉には棘がないように感じた。こちらはこちらでなにか変化があったようだ、恐らくいい方向の変化が。
「お、ネイル!聞いてよ聞いてよ、今日のウーバの活躍すごかったんだからね!!」
「おい!?もうこれ以上俺の話は広げんなって!」
「いいじゃない、今日はあんたが晴れてあたしの弟ポジションから狩人として認められた記念日なんだからさ」
「なんだよそれ!?ずっと弟としてしか見てなかったのかよ」
「当たり前でしょ!?だいたいあんたは・・・・
二人の口喧嘩が長引きそうだったから、わたしはそのまま扉の先へと進んだ。
二人がどんな狩りをしたのかも気になったけど、今はルーアのことが心配だった。扉の先に目を凝らすとこちらへゆっくり近づいてくるルーアの姿があった。
「ルーア!?」
わたしが声をかけるとルーアが顔を上げてにこりと笑みを浮かべた。よかったなんともなさそう。そう安心しかけたのもつかの間、近づいて見てみるとルーアは体中に葉っぱや土が付着したままだった。いつもなら行ったときとほとんど変わらずに帰ってくるはずなのに、一体何があったのだろう。
「ルーア、どうしたの!?こんなに汚れて。一体何が・・・あっ!怪我とかしてない?大丈・・・
「ネイル」
「な、なに?どうしたの・・・」
「わたしこれからもっともっと、カッコよくなるからね」
ルーアが笑ってる。なら大丈夫なのかな・・・?
「もう。何があったのか聞かせてもらうよ?」
「うん!」
わたしたちは扉を抜け、ともに騒がしい二人を見て笑いあった。
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