第7話 遺書では分からない

 こんなにうなされた。


 わたしは中学生だろうか、高校生ぐらいだろうか、そのくらいの年格好で、懐かしい教室にいた。

 当然、中学生だろうか、高校生ぐらいだろうか、そんな年格好の同級生が周りに一杯いて、騒がしいのだ。


 女の子の同級生が見える。

 彼女はいつも俯きがちに歩き、机に座る。髪の毛をできるだけ前に垂らして、ときに顔の半分が隠れてしまうほどだ。

 話しをする際も、恥ずかしそうに手で顔を隠すような仕草を繰り返す。彼女はいつも、そうするのだった。


 みんなより沢山知っているし、色々と器用である。照れながら話す話しも面白い。僕たちはその点で一目置き、そこから彼女に対する全体的な良い感じを抱いていた。


 ある日、その子が自殺した。

 遺書には、頬の、耳近くにある小さな、小さなホクロが一生取れないだろうこと、他人がそのホクロをどう思っているか分からず、毎日不安なことなどが、彼女らしい綺麗で論理的な文章で記されていた。


 僕たちはみな、彼女の遺書を読んで初めて、彼女にホクロがあったことを知ったが、そこまでで、その世界は分からなかった。


 そんな夢にうなされた。



(つづく)


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