バレンタインSS
注:これは本編とは一切関係のないお話です。
★★★
今日は2月14日。世間ではバレンタインデーだ。しかも今年は日曜日にあるから何かとカップルが外に出てデートしてたりするんじゃなかろうか。ただ、世の中には日曜日でも休みがない人も多くいるわけで……。
「……なんでよりによってこの日に出勤日なんだ……」
社会人一年目の俺は、その一人だった。とはいえ普段は日曜日は休みなんだ。たまたま、色々と立て込んでしまって休日出勤をする羽目になってしまったわけで……。本当だったら休みなので美来と一緒にどこか行きたいなあ……なんて考えてたんだけど。
とはいえ仕事をサボるなんてことはできるわけがない。それに今日終われば代わりに明日が休みになったので、なんとか終わらせれば……明日は思いっきり休める。
だからこそここは踏ん張りどころだ。そんなわけで俺はいつもに増して仕事を頑張った。そしてなんとか定時までに仕事を終わらせて、家に帰る。ああ、疲れた……なんて思いながら。だけど、家に帰ればそれはすぐに吹き飛んでしまう。
「お帰りなさい、泰さん」
家に帰れば、そこに美来がいるから。俺が社会人になってから、美来は時々……いや、毎日今俺が住んでいるアパートに遊びに来てくれる。合鍵も渡してあるのでこうして先に美来が俺の家に来ることもできる。ただ、今日美来はお泊りするようだけど。
「ただいま美来。あれ、なんだかすごく……甘い香りがするね」
「バレンタインデーですから。……チョコケーキ、作ってたんです」
「ほんと!? 美来の作ったケーキは美味しいからね、すごく楽しみだよ」
「え、えへへ……大好きな泰さんのためですから」
ああ、今日も可愛い。こうしてずっと一緒にいるけど、お互いに愛情が一向に冷める気配がないってのも……我ながらすごいと思う。でも実際、俺の彼女は世界で一番可愛いから。
「先にお風呂に入りますか? それともご飯にしますか? ……そ、それとも…………」
「さ、流石にお風呂にするよ。ご飯も先に食べないと。……それからでもいい?」
「…………もちろんです」
頰を赤くしながら頷く美来。かくいう俺も恥ずかしさは隠せてないけど。というわけで、俺は先にお風呂に入った。ああ、疲れが流される……このままお風呂で眠ってしまいそうだったけど、美来のケーキを食べないといけないので早めに上がった。
それから俺たちは一緒にご飯を食べて、その後チョコレートケーキを食べる。
「……やっぱ美味い! 美来は料理の天才だよ」
「そ、そんなこと……。で、でも泰さんにそう言われると……やっぱり嬉しいです」
チョコレートケーキはプロ顔負けの味で、美来のケーキを食べるのは何回かあるけど……食べるごとに美味くなってる。だから俺は毎回褒めてしまうんだよな……。
美来も美味しく食べてる俺を見て嬉しそうな顔をしている。その顔も、俺は大好きだ。
「……お仕事、大変ですか?」
「……まあ、そうだね。まだ一年目だからってのもあるけど、慣れないことばっかりで大変だよ」
「で、でも泰さんならきっと大丈夫ですよ! 私、毎日泰さんが頑張ってること……知ってますから」
「ありがとう。でもこうして頑張れるのも美来が毎日来てくれるからだよ。正直、俺一人だったらどうなってることやら……」
「……わ、私だって……泰さんと離れ離れになりたくないから……毎日来てるんです。だ、だって私……もう泰さんと会えないなんて……考えられなくて……」
「……俺も」
俺が大学一年、美来は高校二年の時から一緒にいるのに……今でも毎日顔を合わせないと我慢できないなんて……ほんと俺たち、バカップルだよな。
「……あ、や、泰さん口元にチョコがついちゃってます」
「ほんと? えーっと……」
「……私がとりますね」
そういって美来は俺の座っている方に来て、チョコをティッシュで取ってくれた。そのあと席に戻るのかなあ、と思っていたんだけど……。
「……ちゅっ」
美来はそのまま俺の顔を見て、そしてキスをした。もう何度したかはわからないぐらいしてるけど……それでも、何度もしてしまうんだろう。
「ほんと、大好きだねキス」
「や、泰さんにしたいだけです!」
「可愛いなあ……」
「……え、えへへ。…………も、もうケーキもなくなっちゃいましたし……こ、このまま…………」
「……じゃあ行こっか」
そのキスが生み出した妖艶な空気が、あれをするのを助長して。結局、バレンタインでもらったプレゼントは、チョコだけじゃなかったようだ。
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「不登校の幼馴染が学校に行く条件は、毎日俺とキスをすることだった」
年下の可愛い管理人さんが、俺の奥さんになるまで 倉敷紺 @tomogainai
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