管理人さんはプレゼントをしたい
今日も元気に朝を迎えた。
もうすぐ大学の夏休みも終わろうとしている。高校までと違って期間が九月まであったりしたけど、やっぱり夏休みは楽しかった。それに夏休みがあったからこそ……美来と付き合うことができたわけだし。
「あー……もっと夏休みがあればなあ」
だからこんなことを思ってしまうのは仕方がない。まあ言うて大学が嫌なわけじゃないし、これからも美来と一緒にいられるから問題ないけどさ。
「さて……歯磨こ」
洗面所に行って俺は歯を磨き、顔を洗う。だってもうすぐ来るんだもの。
「お」
家のインターホンが鳴らされ、俺は扉を開ける。するとそこにはいつも通り、美来の姿がある。もはやこれは、俺にとってかけがえのない日常だ。
「おはようございます、泰さん」
「おはよう、美来」
制服を着た美来はニコリと可愛く笑って、おはようの挨拶をお互いに言ってはいつも通り朝ごはんを作るために俺の部屋に上がる。
「今日はオムレツを作ろうと思います。泰さんはそれでいいですか?」
「もちろん。美来が作る料理はなんでも美味しいから」
「もう……泰さんは褒め上手です」
事実を言っただけなんだけどな。美来は照れた表情を見せてきた。まあ、そんなところも可愛いんだけど。
「……そういえば泰さん。泰さんは……何か欲しいものがありますか?」
オムレツを作りながら、美来はふとそんなことを聞いてくる。
「欲しいもの? うーん……特にはないかな。でもいきなりどうしたの?」
「い、いやその……。……だって、泰さんもうすぐ誕生日じゃないですか」
「……あ! すっかり忘れてた!」
夏休みってのは毎日が休みだから、ついつい日付を気にしないで生活してしまう。だから九月の月末に自分の誕生日が近づいてることをすっかり忘れていたのだ。……まー、自分でも中々にやべーなーとは思う。
「わ、忘れてたんですか!? 泰さん……それはダメですよ」
美来もちょっと呆れた顔をしている。
「ほんとそうだよね……なんか、美来との毎日が楽しくてつい」
「! ……そ、それは……ありがとうございます。で、でも! せっかくの泰さんの誕生日です! 盛大にお祝いしたいんです! だから……さっき欲しいものを聞いたんですよ」
「なるほど……。でも別に俺、本当に欲しいものとかないよ。美来と一緒に居られるだけでも幸せだ」
美来には色々お世話になってるし、余計な負担をかけたりしたくない気持ちが強い。それに実際俺は美来と一緒にいられるだけで幸せだから。
「……でも、私は泰さんに素敵なプレゼントを貰いました。だから……お返しをしたいんです」
それでも美来は俺に訴えかけてくる。……そこまで言われたら、断る方が失礼だよな。なら、
「それじゃあ……美来と一緒に誕生日ケーキを食べたい」
俺が出した案は、それだ。
「ケーキ、ですか?」
「うん。美来の誕生日の時はケーキ食べれなかったから……今回は一緒に食べたいなって思って」
「……わかりました! それじゃあ頑張って作ってみますね!」
「手作り? 美来ってケーキ作れるの?」
「ちょっとだけ作ったことがあるんです。そんなに自信があるわけじゃないんですけど……絶対、泰さんを笑顔にする誕生日ケーキ作りますから!」
美来がそれだけ言ってくれるなら、期待しないわけにはいかない。美来もそう決まるとなんだか楽しそうにしている。
「じゃあ期待して待ってるよ」
「はい! 楽しみに待っててください!」
そう笑顔で美来はそう言ってくれた。その後オムレツが出来上がると一緒に食べて、一緒に朝ごはんを済ます。
美来が作る誕生日ケーキか……。ああ、なんだかんだ美来に誕生日を祝ってもらえるって決まると楽しみだ。それに絶対美来が作るケーキは美味しいに決まってるし。
「……泰さん、凄く笑顔ですね」
「え!?」
どうやらその感情が顔に漏れていたらしい。美来に微笑ましく指摘されてしまった。俺が思っている以上に楽しみなんだな……。
「それだけ楽しみにしてくれてるってことですよね。ふふっ、泰さんの期待に答えられるよう頑張らないと!」
「……そりゃあ美来が作ってくれるんだから。今日だってこんなに美味しいオムレツを作ってくれたし」
「……もう、本当に泰さんは褒めるのが上手です」
そんなこんなで、俺たちは朝ごはんを食べ終わると美来は学校に行き、俺は食器を洗う。……もちろん、今日も美来が行く前にキスしたけど。
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