第174話 2号の新スキル・・・アカンやつ!!
何人か先に進んだか………まぁ、良い。
元より何人かは生かして通すつもりだったのだから問題ないだろう。
3号あたりがそれを覚えているかはわからないが………アイツの事だ、例え覚えていたとしても忘れたフリをして主に誰も近付けないくらいの事は平気でやりそうだ。
「くそっ!コイツやっぱ硬すぎるだろ!!ダメージが全然通らねぇ!!」
む?
逃げてしまえば良いものを、碌なダメージにならないと解っているのに武器を手にたった二人で向かってくるか………その意気や良し。
まだ生き残りが居るとは思わなかった、ならば考え事をしている場合ではないな。
それにしても先ほどの一撃で全滅させてしまったかと思ったのだが、嬉しい誤算だ。
ステータスはほぼ変わってないとは言え、進化したばかりで体の構造からして別物、うっかり力加減を間違えてしまった時はもう終わってしまったかと悲しくなったものだ。
魔法で飛来してくる氷塊を大盾で払うようにして防ぐと相手は驚いているようだった。
「嘘っ!?魔法攻撃も前と比べて全然効いてない!見るからに水とか氷とか弱点ぽいのに!?」
………安直な事だ。
火属性の攻撃を此方がしたとて、我が火属性とは限らぬだろうに。
「もう一回だ、頼む!物理よりは全然マシなんだからさぁ!!ダメージ通らねぇ上に向こうの一撃で確実に死ねるとか、こんな奴と接近戦してるの超こえーんだから!出来ればナルハヤで頼む!!」
ただ死ぬつもりは無いか、此方の情報を少しでも得ようと必死なのだな。
「………残ったMPであと一回だけ大きいのが撃てる、でもそれは水でも氷でも無くて〖風属性〗だけど良い!?」
「何でも良いから早くしてくださいお願いしますっ!!!」
此方を抑え込んでいる(つもり)の前衛が今にも泣きそうな声で叫ぶと、後衛の者が早速魔法を使用し始めた。
硬直時間が長い………ブラフではない、本当に大きいのが来るのだろう。
――――――では少しだけ、情報を与えてやるか。
〖エクスチェンジ(属性)〗
残りHPの25%を犠牲にして、吸収できる属性を変化させることが出来る。
ただし、〖聖属性〗・〖闇属性〗は吸収属性に指定できない。
鬣も形状こそ変わらないが、噴き出した炎のような赤から風になびく新緑を思わせる緑へと変化していく、同時に身体に走っていた赤のラインが緑に変わる。
その様子に武器を振るっていた前衛の者が目を見張っている。
「コレって………まさかっ!?くそっ!!マジかよ………マジでクソだ!!こんなヤツ中ボスとして出て良いヤツじゃねぇだろっ!!今すぐ中止だっ!!すぐに詠唱をキャンセルして――――――!!」
気付いたようだがもう遅い、自分が言ったのだろう?「ナルハヤで」と。
「〖ストームランス〗!!」
「あぁ――――――っ!!」
後衛の者が放った風の槍は真っ直ぐ此方へと飛んできて、2メートルほど手前で光の粒子となって消滅し、それらが降り注いだ。
ふむ。問題なく吸収できたか………全回復とはいかなかったが、そこそこの量回復できたので良しとしよう。
「どうして!?風属性は吸収されちゃうの!?」
「違う!コイツは吸収できる属性を変化させられるんだっ!!おそらくさっきまでは火属性が吸収されてたはずだ」
「えぇっ!?」
問題なく理解したようだな。
〖エレメンタルエンジン〗
属性吸収効果が発動した際に自動発動。
攻撃力と防御力・魔法防御力、敏捷性が0.5%上昇、この効果は重複し、最大5%まで上昇する。
吸収属性を切り替えた時、この効果も消滅する。
ステータス上昇もたった一度だけではその効果も微妙だな、まぁ無いよりマシか。
何故か「アカーーーーン!!」という主の声が聞こえた気がした。
見守っていてくださるのですね………主よ。
不甲斐ない戦いは見せられない、此処からはまだ不慣れな身体ながら全力で行かせてもらおう。
【その見守ってた主サイド】
「………まさか吸収する属性を変化させられるとは思いませんでしたね」
「2号ってばそのスキルはボスらしいっちゃボスらしいけど――――――」
絶対オハナの、しかも一眷属が持ってちゃいけないヤツぅ!!!!!
頼もし過ぎて泣けて来たよ!?
……………………………。
うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
しばらくお待ちください。
「――――――吸収した属性が変化したって事は、2号自身の属性も変化してるって事なの?通路の先にプレイヤーさんたちを何人か吹き飛ばしたのは爆発攻撃だったよね?」
「そのようですね。吸収する属性が2号様の攻撃に追加付与されるようです、ですので今は2号様の攻撃に風属性がのっているはずです」
「火が付与されて爆発っていうのはまぁ何となく理解できるんだけど、風属性が付与された場合ってどんな事になるの?〇ケットパンチとか?」
風属性の力を借りて超高速で飛んでいく2号パンチ、楽しそうじゃない?
「………夢に満ち溢れすぎでしょう。普通に攻撃後に真空波のようなものが出るようです」
「………なんだぁ」
「どうしてちょっと残念そうなんですか、その反応にこっちが「なんだぁ」ですよ」
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