第165話 オハナ眷属にブレーキがあると思うな

「さて、皆に集まってもらったのはお願いしたい事が出来たからなの」


オハナからの呼び出しには皆快く応じてくれた。


「お母さまっ!!私と4号だけ別室なのはどういうことですかっ!?」


そこに割り込む3号の声、3号と4号だけはダンジョンの一角に何処とも繋がっていない独立した部屋を作成して、そちらの方に強制転移させてもらった。

声がした方を見ればサンガが討花会の人たちの事をモニタリングしている左上部分に、ワイプって言うのかな?(あの小さな画面で切り抜き表示されてるようなヤツ)で3号と4号の居る部屋の様子が映し出されている。

4号も「納得いかない!!」といった風に、激しく花を揺らしている。



「自分たちは臭いからと行かないくせに、5号にそれを押し付けたらしいじゃない。オハナ的にそういうのはちょっと見過ごせないからお仕置きかな~って」


オハナが言えば二人は揃って騒ぐのを止めた。

まったくもぅ………自覚があるならするんじゃないの。


オハナとしては時々5号が臭いときがあったんだけど、今になってそういう事情だったんだとようやく繋がっちゃったんだもの。

そして『いじめ ダメ 絶対』(※ただし相手が明確な『敵』ならば、詫びぬ・媚びぬ・省みぬ、躊躇う必要はありません。だって敵だもの)の精神から、少しだけお仕置きしようと考えたわけですよ。


「それじゃあクロード、始めて頂戴」

「仰せのままに」


仰々しい礼をしてから不敵に笑ったクロードの手には、件の香がゆっくりと煙を吐き出していた。


「まさか………お母さまっ!?」

「そこで5号の辛さを理解し、反省なさい」


そうしてオハナは二人の居るお仕置き部屋との交信を切った。

画面の隅で映像は確認出来るんだけど、そこでは既に二人が悶え苦しんでいる。

魔物にとっては激烈に臭いだけで、何か実害があるわけじゃない(クロード談)って話だからあのまま二人には反省していてもらいましょう。

クロードは人間だから香の影響は受けないだろうから、あの二人の見守り係に任命しておこう。


「お話の前に、あの香には何らかの対策をした方が良いのでは?ただでさえ今は他の方々も居られないのです、今日に限ってはあれで撹乱されてしまうと容易に攻略されてしまうのではないでしょうか?」


ダンジョン第一なサンガが進言してくれるけど、オハナとしてはあまり気にしなくても良いと思うのよね。

何故って――――――。


だってオハナが止めたところで殺意高めな眷属たちが止まるわけがないんだもの。


寧ろそうした連中が出て来たらそっちを早めに各個撃破して、別の敵の所に合流とかしそうじゃない?

「何かよくわからないけど敵の数が分散されて減ったので倒しやすくなりました」とかいう状況になりそう、そんなに酷い事にはならないんじゃないかなー?って思ってる。


最近はちょっとオハナの言う事を聞いてくれる時があった気がするから、サンガが勘違いしちゃうのも解るんだけどね?

さっきオハナが「ほどほどにね?」って弱めとはいえGOサインを出した時点で、あの子たちの事を止められるとは思ってないもの。

まぁ散々理屈を並べたところで意味無いか、もっとわかりやすく言うと。


今のあの子たちにブレーキがあると思う?


――――――って話。どう?わかりやすかったかな?


「対策しなくても大丈夫。寧ろ大歓迎だよ」


討花団の人たちには申し訳ないけれど、オハナとこれからの眷属たちの為に色々と試させてもらおうと思ってる。

そのためにも彼らには少しでも長く生き残って、上がって来てもらわないとね。

本当にオハナの所まで辿り着いてくれたなら成果としては上々じゃないかな?












「………サンガ、3号と4号の様子はどう?」

「音声を繋ぎます」


「――――――!!!!」


何か5号も悪かったーだとか、よく聞き取れないけれど全く反省の色が無さそうね。


「クロード、香を追加で」

「承りました」


おかわり決定。

さて、そろそろ二人が暴れ出して同室のクロードが危なそうなんだけど………まぁ大丈夫か、クロードだし。

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