第157話 悩める魔王さん

魔王さん視点でのお話です。

短くてすみません………。



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「オハナは無事にやり遂げたようだな」


オハナに下った人間、たしかクロードといったか?

その者がこちらへ送り付けてきた報告書を読み終え、溜息と共に椅子の背もたれに体を預けた。

事の顛末など多少の誇張はあるだろうが、報告書はよくまとめられていて第三者にも判り易いものだった。

オハナの部下でなければ魔王城の文官として欲しいところだが、アレはどうやらオハナに深く心酔しているようなので引き離せば働きが鈍るかもしれない。


面倒なものだ――――――七牙のおよそ半分、反抗勢力とも言える膿を出し切った結果が深刻な人材不足だとはな………。


あんな者たちでも多少何かの役には立っていたようで、居なくなって万事解決とはいかず、残った者たちに負担を強いてしまっている。


「早急に新たな七牙を立て直さなければなりませんね」


フェンネルがタイミングを見計らって紅茶を出してくれた。

新たな七牙、か………。


「今回の褒美としてオハナを七牙として迎え入れるというのは如何でしょう?」

「確かにオハナはそれに相応しい働きをしている。戦力が下がっているはずの我らが勇者たちと善戦出来ているのはオハナの力によるところが大きい。だが無理を言って此方に反感を持たれても今の我々では対処できないだろう」

「それほどの力を放置しておくのも危険かと思います」

「其方の懸念も分かる、だがアレは基本好きにやらせておくのが一番良い。下手に機嫌を損ねればオハナの眷属ら共々確実に我らの敵となるだろう」

「そんなまさか!?いくら眷属とはいえ魔王様に歯向かうなんて考えられません!!」

「他の者たちならばそうだろう。だがオハナの眷属たち、アレは異質だ。主であるオハナに絶対の忠誠を誓いながらも独自の判断で動き、主の意志に関係なく自由に敵を定めることが出来る」


おそらく此方がオハナの意思に反して七牙にしたとして、最終的にオハナが渋々納得したとしてもその眷属たちは決して此方を許すことは無いだろう。

表面的にはオハナに従順であるだろう、その裏で此方を攻撃、或いは撃滅する隙を虎視眈々と窺い続ける――――――ある種追放した三人より厄介な敵が増える事になる。

もし仮に事が起こり、オハナが気付き止めに入ってくれるまで一体此方にどれだけの被害が出るだろうか?考えたくもない。


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