第156話 ダンジョンよ!オハナは帰って来た
「おかえりなさい、オハナさん!」
「クエスト、無事に成功したみたいですね!」
ハイどうも~。
お留守番組のプリムさんとホタルちゃんに出迎えられたオハナです。
二人との再会を懐かしむ前に、オハナはやるべきことをやっておきましょうかね。
「サンガ居る~?」
何処にでもなく、そう呼びかけてみれば眷属たちに揉みくちゃにされた中からふよふよと出てきたサンガを発見。
「救出した人たちのお世話をお願いね?」
「鬼ですか!先ほどまでの状況丸っと無視ですか!?」
そう言われてもねぇ?
サンガが眷属たちに大人気なのは今に始まった事じゃないし。
見慣れた光景過ぎるんだもの。
「………総じて新鮮味が足りないのかしら?」
「何故その言葉が今出てくるのか意味不明なのですが?」
「まぁとにかくお願いね?」
説明なんてしないよ?絶対怒られるからね。
どれだけ効果があるのか分からないけれど、眷属たちにあまりサンガの邪魔をしないようにと軽~く注意して、今度はサーチェとカーマインを探す。
あの二人にダンジョン村の人たちとサンガとのパイプ役になってもらおうと思っている。
元々在った集落の代表さんも居るんだけどね。
あのトンデモ宗教が他の集落まで襲いやがったせいで、集落の代表者が複数人存在という………何かとてもややこしい事態になってるんだもの。
それぞれがそれぞれ集落を上手く纏めてきたという自信があるみたいだったけど、派閥争いだとか後々面倒事になりそうな予感がするじゃない?
人と人のことだから、合う合わないは絶対にあるだろうけどさ。
だからオハナが勝手にサーチェとカーマインを代表者に据えて、「新体制の下で頑張ってね?」という風にしてしまおうと目論んでいたりするわけで………。
「――――――じゃ、よろしくぅ♪」
「色々端折り過ぎてます!?」
「せめてもう少し説得とかしようぜ!?」
二人の肩をぽんと叩いて優しく言ったのに何かご不満か?
タイミング良くオハナ眷属たちが一斉に二人をじっと見つめる。
まばたきもせず完全に動きを止めて二人を見つめる眷属たち、オハナも無言で二人を見つめる。
「大丈夫。何があっても(サンガが)フォローしますし、身の安全は(眷属たちが)守りますよ」
じゃあオハナは何するの?っていうツッコミは無しで。此処に住む人たちの意見が最優先だと思うから、サンガから陳情された事を判断はするけれど基本的にオハナからは何も言わないつもりで居るんだもの。
住み良くするのも住み難くするのも自分たち次第、オハナが動くのは壊滅的な何かが起きた時だけかな。
「オハナさま………」
「俺たち、頑張ります!」
うんうん。村が出来上がるのが楽しみだね。
あ、そうだ!
プリムさんに御土産渡すの忘れてた。
「プリムさ――――――」
「呼びましたか?」
うおぉぅ!
今オハナが呼びきる前に現れなかった?
ビックリし過ぎてオハナらしからぬ汚い叫びが出るところだったわ。
「プリムさんに御土産が有るんですよ」
気を取り直して例のキンピカハンマー(銘とか何処かへ吹き飛んで忘れた)をアイテムボックスから取り出す。
ハンマーが地面に落ちると同時に轟音が響き渡る。
その音につられてダンジョンメンバーの皆も集まった。
「これって………大槌ですよね?私では職業の制限で装備できませんよ?」
「これは………どこぞの勇者王が持ってそうなハンマーっスね」
「カナきちよ、何で知ってるんだ?世代じゃねぇだろう?」
「スパ〇ボ知識っス!」
「勇者の王様?」
「スパ〇ボ?」
プリムさんの反応とカナきちとコテツさんの会話、ワヲさんとホタルちゃんの不思議そうな言葉に苦笑いしつつ。
「これは『杖』です!!」
オハナの宣言の後、怖いくらいに周囲から音が消えるのヤメテ。
いたたまれないわ。
「いやいやまさかそんなそんな――――――ホントだ………圧倒的に〖筋力〗が足りてないから現状では装備できませんけど、それ以外では何もシステムメッセージで言われてません」
漸く色々呑み込もうとしてそれが出来ずに漏れ出しているプリムさんが、恐る恐るハンマーに触れて驚愕していた。
「普通だとどういうメッセージが表示されるのかしら?」
「〖この武器は職業適性が無いので装備できません〗だったと思います」
「じゃあプリムちゃんが〖筋力〗を上げれば装備可能って事か」
「重そうだから〖筋力〗が必要なのはわかるっスけど、それで〖敏捷性〗が下がったりしないのは謎仕様っスね」
それはきっとハンマーを持って駆け回るせいで、同時に脚力も鍛えられるからだよ。
とか何とか余計な事は言わない、あくまで想像だもの。
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